Inspired by Nikkeinews 20070903 核心
亀山式と呼ばれるシャープの液晶事業。同社の基本的な製造戦略は、完全なブラックボックス。競合他社への情報漏えいを遮断し、オペレーターや納入業者でも、工場内での人間の不自然な動きに神経を尖らせている。フィルムなどの主要部品との共同開発など、液晶関連の国産メーカーを集めた産業クラスターの長所を100%生かす垂直体制だ。
この対極にあるのは、アップルのiPod。同社が担うのは、製品のコンセプトや設計、デザイン、マーケティングのみ。製造やEMSへ委託、部品も外部からの購入。グローバル化した製造インフラを活用し、水平分業を徹底的に利用する。iPodや任天堂DSなどは、「バラシ」と呼ばれる行為により、内部に搭載された部品がどの会社のものであるのかが、すぐに判明する時代。部品会社の株価も、バラシの結果ですぐに上昇下降する。
ここで、こんな疑問を持たなかっただろうか。「丸投げするアップルは、付加価値を生む工程が少ない。本当にうまみのあるビジネスなのか・・・」。この疑問に答える研究結果が、カリフォルニア大アーバイン校から発表された。「グローバルなイノベーションの中で、誰が価値を獲得しているのか」、その結論は、アップルだった。
- 定価299ドル。
- 一台に使われる部品は、451個。
- もっとも値が張るのは東芝のHDDで73.39ドル。しかし、HDDも部品の外部調達、組み立ての生産委託により、純粋な東芝の付加価値は、19.54ドル。
- 最終的な日本メーカーの貢献分は26ドル。
- 部品供給及び組み立て企業の請う検分合計は、144ドル。
- 割引を無視すれば、差額155ドルをアップルと流通業者で分け合う換算。
(調査会社アイサプライでは、定価599ドルのiPodの55%を粗利益率として算出)
垂直一貫か、水平分業か。競争相手とパートナー相手の見極めも、Big Isuueである。
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