Inspired by Harvard Business Review 2008April
CSOの役割
- 戦略立案・実行プロセスを体系化する
- 部門横断的な関係を構築してシナジーを生み出す
- 企業戦略の達成に邁進する人に対し、アカウンタビリティとトランスペアレンシー(業績の説明責任と透明性)を向上させる
CSO設置の背景
- 事業環境の変化=組織構造の複雑化
- 加速するグローバリゼーション
- 新たな規制
- イノベーションの生みの苦しみ
- 戦略の特性
- 戦略開発は定期的なものではなく、継続的なプロセスである
(奏功するかどうかは、これまで以上に迅速かつ優れた意思決定にかかっている) - ラインマネジャーは自分たちの言葉で戦略を定義する傾向があり、経営陣がその実行を管理しにくい(無秩序になりやすいプロセスの維持・回復を担う)
- 戦略開発は定期的なものではなく、継続的なプロセスである
COOやCFOが戦略の監視役にはふさわしくない理由
- 「実行に移しやすい事柄と、実行すべき事柄とは根本的に相容れないもの。この相克によって、COOは厳しい決定を避けがちである」(William Wommack)
CSOへの誤解と真実
- 誤解「CSOは、なかば孤立した環境で長期計画を練り上げている」
→戦略的に考え、行動するベテランリーダー(多種多様なオペレーションの指揮を経験を相当積んでいる) - 誤解「CSOは、指揮者であり助言者である(社内コンサルタントである)」
→CSOの多くは、コーチというよりスター選手(自ら行動することを望む) - 誤解「CSOは、明日の計画を考えている」
→全社の力を結集し、今日なすべきことを考え、承知している
CSO候補の見つけ方
- CEOの信任が厚い
- 複数の仕事を同時にこなせる(M&A、競合分析、市場調査、長期計画など難度の高い役割を最低でも10以上担当することが求められる)
- なんでもできる(事業、職能など多様な現場で経験を積んでいる)
- 社内の花形である(CSOはゴールではなく、次へのステップ)
- 考える人ではなく、行動する人
- 影響力は大きいが、独裁者ではなく、コネクターでありプロデューサーである
- 白黒はっきりしに状態でも苦にならない(不確実な未来を受け入れる能力が要求される)
- 客観的である(感情や強烈な構成によって判断を曇らせたりすることのない人)
- 中期を守護する者
(経営陣は概して、短期と長期の問題に対応するのが得意で、1~4年という中期をなおざりにしがちである。CSOは戦略実行上重要な中期の問題に社内の関心を集める能力が求められる)
⇒ CSOは組織内にわたって、時には組織の枠を超えて、あらゆる人たちと仕事をし、彼、彼女らの自発性を喚起しなければならない、それがこの仕事の肝である
CSOに期待される三つの仕事
- 具体的な戦略を立案するために努力を傾ける
(「戦略は、例外なく上意下達であってはならない」戦略上のビジョンは内部の人間のほうがやりやすい。ただし、新機軸が求められるときには、社外の人間の採用もある) - 改革を加速する
ビジョンの下に社内を一致団結させ、改革の努力を後押しする - 組織をたえず改革するような意思決定を奨励する
当初は明快だった戦略も、人材の入れ替わりや競争環境の変化によって次第にぼやけてしまうことがある。これを絶えず補強していないと、社内の結束に緩みが生じ、崩壊してしまう事態にもなりかねない。また、上層部の決定が骨抜きにならないように、組織の隅々まで浸透させることも重要。これを確認するのがCSOの役割である - 経営陣が陥りやすい思考特性を指摘し、針路をただす
CSOはギョッとした話を持ち出す適任者が多い。他の人たちが触れたがらない話題をあえて取り上げ、合意や行動の妨げている問題を解消すべく、思考や討議を促す役回り。経営陣が集団志向や過去の慣例や成功例にこだわりすぎないよう(「伝統のレンズ」を通して物事をみすぎないよう)ガイドする
CSOの具体的な仕事
- 時間軸(タイム・ホライズン)に注目する
- CSOはとくに中期(新規事業の開発)に力点を置きながら、短期(コア事業の拡大・防護)、長期(実現可能な選択肢を用意する)のすべての時間軸を包含した全体像を提供する
- CSOは、時間の39%を中期に、36%を長期に、25%を短期に注いでいた
(他の執行役員は、短期と長期により多くの時間をさく)
- 戦略プランニングと実行をバランスさせる
戦略プランニングは社内の小さなチームと外部コンサルの知識を活用し、実行によりエネルギーを割く - しかるべき影響力を行使する
「お手並み拝見」と見るほかの執行役員たちへ、その影響力を効果的に行使できなければならない。due diligence(適切な注意)が重要 - ITと人事、組織文化について知悉(ちしつ)する
短期、長期に目が向きがちなCOO、CFOと役割を分離して、中期への関心の喚起や、戦略の全体合理性の確保を担うCSO。ナレッジ・イニシアティブを進めていくうえで、CSO的な役割を、推進委員が担うことは成功の重要なカギを握る。
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