Inspired by Nikkeinews サバイバビリティ
日経新聞で今年に入り、「SustainabilityからSurvivabilityへ」をテーマに特集が組まれていますね。そのエッセンスをいくつか拾い上げてみると・・・
- 金融の役割は、「リスクを皆で広くとること」(シラー エール大教授)。リスクの取り手が必ず現れ、新たなお金の流れを作り上げてきた、リスクを避けるのではなく、とること、この経済の血液再生を見つめるべきだ
- 資本主義は、効率性と安定性という二律背反の性格を持つ。市場の自主性に任せるほど経済は効率化するが、不安定さは増す。以上にゆだねる部分を抑えれば経済は安定以下するが効率は悪くなる。グリースパン氏は徹底的な自由放任主義で国家介入をきらい、未曽有の危機を作り上げてしまった。今後は、現実的に規制をつぎはぎしていくしかないだろう(1929年のような統制経済やナチズムのようなイデオロギーのシフトはないだろう)。 by 岩井克人 東大教授
1929年の世界恐慌との比較の中で、今回の金融危機の特徴として共通して指摘されるのは、「資本主義は最悪だが、これにかわる仕組みはない」というチャーチルの民主主義論をもじって表現される、資本主義との付き合い方を見直すことが解決のカギだとされるもの。
国家間の協調や、国連、世界銀行などのグローバル調整弁の役割がより重要になるという声が多く聞かれます。米国やドルの役割は、相対的に下がっていくとしても、現時点では日本やEUが支えることは難しく、ロシアは最悪の福祉制度や平均寿命59歳など内部に問題が多い、中国などの新興国が主役をはるにはもう少し時間がかかる・・、結果として基軸国(世界中の英知を集める、英語の普及などのソフトパワーで、いったんできた便利な仕組みのうえで循環していく構造を持つ国)としての役割が期待されるだろうという意見に集約されるようです。
いずれにしても、米国や先進国の中間層の需要喚起は限界を迎えています(すでに、1974年から下降線をたどっているという指摘もあります)。しかし、新興国の中間層が先進国と同じような需要を持つかといえば、そうではないようです。
- 「不気味の谷(by 東工大名誉教授 森政弘氏)」が脚光を浴びる。ロボットの姿を人間に近づけすぎると見る者の不安感が増す。仮想と現実の間には超え難い谷が存在する。ネットの普及によりバーチャルは盛り上がりの一方で希少性を失った(セカンドライフに飽きた人々)。希少性を増したのは、リアル(現実)の世界。ネットの普及は価値の見直しを迫る
1990年代後半から、米国の成長を支えたIT。その役割も変化を見せ、バーチャル・ワールドの拡大よりも、いかにリアルライフを豊かにするかという点に期待が集まり始めています。一方で、地球との共生問題。こちらは産業としての期待をますます集めているように思われます。
- 過去百年間で、世界の人口は3.5倍に増えた。穀物の消費量は7.5倍、エネルギーは20倍に膨れ上がった。しかし、資源や食糧の供給量、環境には限界がある。
今年に入り、再生可能エネルギーへの投資計画を各国が発表。環境技術を新たな事業の柱にしようという動きが世界中で加速しています。どうも、環境技術もレッドオーシャン化して、手段が目的化する様相も見えますが、環境技術やシステムの革新に知恵を絞り、その開発費用を新たな金融システムが支え、第三世界のインフラ整備が進む・・・、そんな好循環を期待できるのかもしれません。
問題は、私たちが直接的に豊かになるという実感はないなかで、第三世界の貧困脱出を自分ごととしてとらえられるかどうか・・、グローバルな共感の醸成にかかっているように思います。
最近のコメント