Inspired by Nikkeinews 20061228 経済教室 若田部早大教授
今年人気のあった経済本「やばい経済学」に代表されるように、インセンティブによって人間の経済活動が変化するという経済学の切り口が、にわかに注目を集めている。「行動経済学」と呼ばれる領域で、子供の出生は税控除制度などの金銭的インセンティブに影響されるという研究結果や、自制、人間の意志力について、「意思力は枯渇する資源である」ととらえ、ケーキを食べるのを我慢していると意志力が弱まり、最後にドカ食いをする現象を説明するものもある。
これらの研究は、人間の複雑な姿を科学的に解明しようという試みである。意志力の研究は、実際の生活で興味深い適用が進むと本稿は指摘する。たとえば、公共施設の禁煙。根拠は非喫煙者の負の外部性である。一方で、喫煙や飲酒、ギャンブルに中毒性があることや、過剰摂取が有害なことも知られている。ここに注目すれば、喫煙者のためを考えると禁煙の強制がのぞましいという「余計なおせっかい」にも思える結論が正当化されるかもしれない。
「九ヶ月後に生まれる子供をつくるのに税控除に反応する一方で、目の前のケーキにも負けてしまう」存在にとって、インセンティブとは何か。人間行動を経済から解明するという切り口は、心理学、組織行動学などの領域を超えた研究成果を生むと期待される。
ハーバード大学のG・マンキュー教授のブログも要チェック!とのこと。
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