Inspired by Nikkei Innovation Japan from Woman
一橋大学イノベーション研究センター教授、米倉誠一郎氏による講演記事。これが、なかなか面白い。イノベーションのモデルを四つに分類し、それぞれに求められる企業家タイプを分析している。
ハーバード大学の故ウィリアム・アバナシー教授は、イノベーションを4つのモデルに類型化した。縦軸は市場、横軸が技術。新しい市場を創出するか(上)、既存市場を地道に深めるか(下)。既存の技術コンセプトを破壊するイノベーションか(右)、既存技術を熟成・精緻(せいち)化するイノベーションか(左)。新技術で新しいマーケットを創出する構造的革新もあれば、既存技術の改良によって低価格化や高品質化を進める通常的革新もある。
企業家も4タイプに分類できる。右上はある種の天才。右下を担うのは技術者。技術がなくても、マーケットを熟知していれば左上のイノベーターになれる。左下の管理者タイプとは、例えばトヨタ生産方式を体系化した大野耐一さんなど。
ここで重要なのは、今自分たちに必要なのはどのイノベーションか、どのタイプの企業家かを考えること。一人でできることは限られています。技術はあるけれどマーケターがいない、あるいは市場性に優れたアイデアはあるけれど技術面のブレイクスルーが必要――と、絶えず「新たな組み合わせ」を考えること。現状を「創造的に破壊」するには自分と異なる考え方、異質な人材を意図的に取り込む姿勢が不可欠です。
また、「リーダーとしてイノベーティブなチームや組織を築いていくには、自分なりの原則論を持ち、一時的な現象にとらわれない自分の軸や組織観を持ち、決してブレないこと」とし、ロールモデルから評価基準を発見することが重要とコメント。
「イノベーションはきわめて人間的な営みです。周囲の人を動かし、イノベーションを遂行するにはリーダーシップを正しく“学習”し、率先して行動することが重要です」の締めのメッセージに、強く共感をおぼえる。
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