Inspired by Nikkeinews20070903 経済教室 エコノミクストレンド 大竹阪大教授
1990年代半ば二発表された、最低賃金引き上げが雇用を増やすという米国の実証研究の影響から、日本でも最低賃金上げが格差対策として注目されている。
しかし、このような見方がある
最低賃金引上げで被害を受けるのは、新規学卒者、子育てを終えて労働市場に再参入しようとしている既婚女性、低学歴層といった、現時点で生産性が低い人たちだ。最低賃金引き上げは、企業による機械化、生産性のより高い労働者の雇用努力を促進する。最低賃金上げにより、彼らの就業機会が失われると、仕事をしながら技術や就労習慣を身につけることができなくなる。
最低賃金引き上げでも、仕事を失われない可能性があるのは、最低賃金近辺の労働者が、生産性より低い賃金しか支払われていない場合である。とくに、労働市場が買い手市場のときには(バイトする場所が、ほかにないケースなど)、そのような現象が発生する。
最低賃金引き上げは、貧困解消手段として政治的にアピールしやすい。しかし、この結果被害を受ける恐れが高いのは、未熟練動労者(これから仕事に就く若者・既婚女性など)だ。労働組合が主張する格差是正策も、最低賃金引き上げで職を得られたかった人を排除した論理であることを忘れてはならない。社会全体で見れば、最低賃金引き上げで職を失う人を生み、格差は拡大する。
この貧困対策として、同氏は「1.教育訓練を充実する 2.負の所得税 (勤労所得税控除)」により、所得再分配の必要性を説いている。
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