Inspired by Nikkeinews 20080213
富士フイルムが、富山化学をTOBで買収する記事がトップを飾りました。タミフルにかわるインフルエンザの治療薬やリウマチ根治薬などを開発する富山化学は、新薬開発費用がかさみ赤字転落など苦戦しています。
中堅製薬会社は、資金不足に悩むところが多く、資金力のある異業種業界との連携で、新薬開発を加速する動きが広がっています。
このような動きは、住友化学(大日本製薬と合併した住友製薬が傘下入り)、三菱ケミカルHD(田辺製薬と合併した三菱ウェルファーマが傘下入り)、キャノン(将来の参入を視野に定款(テイカン)変更)など、広がりを見せています。
化学、食品メーカーにとり自社の技術を応用でき、本業より利益率が高い医薬事業は魅力的に映るのがその要因。国内市場は六兆-七兆円にとどまるが、現在七千億ドル台半ばの世界市場はアジアやアフリカの人口増を背景に拡大傾向、という市場状況にあります。
特色や技術力はあっても経営基盤の弱い中堅・ベンチャーを買収する形で、異業種による医薬事業参入が相次ぐ可能性は高い。長期の投資に耐え、回収にこぎつけられるか異業種組の底力が試される、とされます。
富士フイルムの場合は、内視鏡など医療機器、診断薬や再生医療など、医療関連事業を強化しており、ナノテクなどの独自技術と創薬技術を合わせれば競争力の高い医薬事業を展開できると判断。これを市場も好意的に受け止めているようです。
海外では、仏アベンティスが独ヘキストから化学事業を分離するなど、十年前から医薬特価の動きが続き、米ファイザーのような専業メーカーが世界上位を占めています。CiscoがR&Dならぬ、A&D(Acquisition & Development)でネットワーク業界のリーダーシップをとっているように、医薬業界でも異業種メーカーが主導者足りうるモデルを発見できるか、医薬業界の独自性を理解して、アイデアを練ってみたいテーマです。
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