Inspired by Nikkeinews やさしい経済学 生命から発想する⑦
環境問題も人心の荒廃も自然の問題であり、「いのち」の問題である。生活を基本において、そこから技術や経済を考えようという姿勢を提案する。「いのち」とは食・健康・知と心・環境であり、いのちを考えることは、生活の基本を考えることなのである。
政治・経済を地域・生活者の視点で考え、制度の整備は政治の役割、それを支えるのは民の役割とする「せんたく」の運動の趣旨には全面的に賛成する。
「せんたく」は坂本竜馬の「日本を今一度洗濯いたし申し候」という気概を受けついてでお、価値観の転換が必要となる。
価値観を変えるのは難しいといわれるが、歴史を辿ってみれば変化はいくらもある。たとえば、ルネサンス(人間復興)。教会という権威に対して人々が自ら生きることを求めた運動で、人間の基本に考えるという点で同じものを感じ取れる。違うのは今や「生き物としての人間」の復興が重要だということ。
現代社会は自然を征服と利用の対象とし、自然の面倒からののがれて人工環境で生活することを進歩としてきた。いきものや人間を機会として解明し、機械として扱う社会であり、環境問題や人心の荒廃をもたらした。
機械はどれほど複雑に見えても既存の知識の範囲内のものでしかない。便利で、スイッチ一つで思い通りに動くが、思いがけないことは生み出さない。生物を含む自然は複雑で未知のものが多く、思いもよらない発見がある。自然には新しいものを生み出す力があり、創造につながるのである。
環境破壊・人心の荒廃という悩みから抜け出し、明るい未来を構想し、創造していくための原点は、自然・生命・人間にある。人間を愛し、自然を愛することから出発しよう。
人間の尊厳を取り返す、そのためのヒントは「自然を楽しむ風情」にある。
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