Inspired by HBR May2008 “What are good Experts?” 問題解決の正しい選択法
「その道の専門家でなければ解決できない問題、あるいは予測できない問題の数は確実に減っている」
プロフェッショナルには衝撃なメッセージから、本論文は始まる。複雑な問題を二つの切り口で分類してみよう。
- ひとつは、因果関係が不変であり、ルールに従って解決できる問題である(ex. 与信管理、簡単な医療診断など)。このルールありきの問題は、もはや専門家よりもコンピュータに任せたほうが確実だ。
- もうひとつは、因果関係があいまいで、結果が偶然によって大きく変わる確率的な問題である(ex. 株式投資、経済予測・政治予測など)。この種の問題は、専門家よりも大衆による集合知のほうが、適切に予測することが多い
※ただし、大衆に専門知識が乏しい場合はその予測はたびたびはずれる(イラクの大量破壊兵器保有の予測や、フットボールでファンよりも監督が優れた作戦をすることなど)
それでは、どのようなときに専門家は能力を発揮できるのか、モーブッシン氏は、」ルールありきで解決でき、かつ対策の自由度が高い問題については専門家が優れた解決力を発揮することがわかった。非生産的な選択肢をすばやく排除し、断片的な情報から創造的な結論を引き出す力が求められるからだ。それゆえ、戦略プランニング、イノベーション、トラブル・シューティング、設計などは専門家がコンピュータや集合知をしのぐ。
Tom Davenport氏も絶賛する、カジノ会社はラーズ・エンタテインメントは、売り上げデータの分析をコンピュータで行い、重要顧客を再定義した。彼らはそれまで、ハイ・ローラーと呼ばれる高額をかけるギャンブラーを重要視してきたが、コンピュータ分析の結果ロー・ローラーこそ、貢献度が高いことを発見した。売り上げ予測のような確率的な問題について、専門家の変わりに(または専門家の予測を補足する意味合いで)、「予測市場」という場を社内に設ける動きが広がっている。
自社製品の売上高や利益などの重要な業績指標について、豊富な知識の持ち主から様々な予測を仰ぎ、その集合知を反映させる。専門家よりも適切な予測に基づく予算を決めうる。
今後は、「ある特定の事項のみ造形が深い専門家」よりも「認知的多様性を備えた専門家」が求められると説く。豊富な認知ツールを持ち、この問題に最適だと思われる解決法を選びだす。背景には、「直面した問題を的確に分類し、最適な解決法を選択できる企業がもっとも高い競争力を示すことができる」という競争モデルのシフトにある。
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