Inspired by Nikkeinews 20080902 経済教室 平松幸男大阪工大教授
欧米の代表的なグローバル企業では、ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)、ITU(国際電気通信連合)らによる国際標準化に力を入れ、自社の商品がっ世界市場で受け入れられるよう、長期的、戦略的な取り組みをしている(WTO(世界貿易機関)の取り決めで、貿易対象となる製品やサービスは国際標準に準拠していることが原則とされているため)。
これまで、日本企業は日本市場こそが活動の舞台ととらえ、海外に出て行くだけの誘因が弱かった。また、過去の成功体験にあるのは、すぐれた自社技術を武器に事実上の標準化を達成したという事例だ。
しかし、今後は「ホームラン型」の標準化ではなく、「クリーンヒット型」を重ねる手法が求められると、平松氏は指摘する。中国やインドという新興企業で欧米企業と伍していくためには、避けて通れない。
具体的には、自社の商品のどの部分を標準規格とし、どの部分を競争対象とするべきかを考え、自社商品の「普及」「競争」戦略をたてること。
- 標準化の分野に対しては、
積極的に国際標準化活動を展開する。前段階としての、民間のフォーラムやコンソーシアムを自ら設立したり、既存の組織に参加したりして、まずは市場を立ち上げる。第二段階で国際標準化を図るなどのやり方もある
また、経営面では、知的財産(とくに特許)の取得を意識する。自社技術の普及のため、標準に含まれる特許を積極的にライセンスする。この際、特許料が目当てなのではなく、市場の拡大が目的なので、関係の企業が標準を採用しやすくするために、特許料は低く抑える - 競争の分野に対しては、
優れた機能、デザインをどの程度効率的に作れるかが勝負の分かれ目。
また、特許で競合他社を排除する姿勢も求められる
最近の標準規格競争といえば、新世代DVDだが、この例に日本の愚かさが露呈されたとする。本ケースでは、標準化対象の規格の範囲で競争してしまった。本来協調すべきであるのに、日本企業同士が仲間づくり競争をしてしまった。競争の帰趨(きすう)を決定したのは、米国の映画会社であったし、当然、一般消費者は規格争いをしている間は買い控えしていた。。。
日本でも、日本経団連の二十一世紀政策研究所による「技術の国際標準化に関する各国の戦略分析」という研究や、知的財産戦略本部による、知的財産推進計画2007、2008という取り組みで、国際標準化の戦略的取り組みを進めようという動きがある■。
最近のコメント