Inspired by Nikkeinews 20080919 やさしい経済学 リーダー育成の連鎖 金井神戸大教授
「リーダーシップ・パイプライン」
ナンバーツーまできても、まだ上にひとり、最終的に手綱を握る人がいる。最高経営責任者(CEO)に指名された人の談話を読むと、身の引き締まる思いに触れることができる。副社長と社長の距離は、新入社員と福社長の距離よりもはるかに遠いという声さえきくほどである。
リーダーシップ・パイプラインとは、金井先生が主張する新しい概念で、「だれかひとりがリーダーシップを強力に発揮するのではなく、だれもが自分なりにリーダーシップを発揮できるように、組織のなかでリーダーシップの連鎖ができあがっていく」という(詳しくはこちら)。
「リーダーを育むリーダーを育むリーダーを育む……リーダー」という連鎖を生むためには、早くから、「経験が7割、薫陶(力のあるひととの関係)が2割、研修や読書などの座学が1割」(ロミンガー(Lominger)社の数字)というリーダー成長の場を用意することが重要となると指摘する。
日本では松下、米国ではGEのリーダー育成がそのモデルとされる。松下幸之助は、自分が病弱であったことから、早くから後進の育成に力を入れていたという。ホンダ、ソニーなどの偉大な創業者をみても、経営者は孤独であるよりも、縦・横のつながりを持つことが重要であると言える。
平尾誠二氏によると、ラグビーの場合でも一人で仕切るより、チームリーダー(まとめ役)、ゲームリーダー(戦略の達人)、イメージリーダー(イメージで勝負できるワンポイントリリーフ、その試合のみのリーダー格)の三通りが自分の理想とするチームには必要であるという。
孤独に勝てるリーダーの育成よりも、ネットワークでリーダーシップを発揮する場づくりが、持続的経営には不可欠という金井氏の主張に、今後も注目しよう。
※関連言語
「シェアード・リーダーシップ」「コ・リーダーズ」「リーダーフル組織」
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