現在のEMS(ISO14000)は、どうにも創造性が感じられません。推進組織が掲げる右肩あがりの目標、その基準のなかで窮屈な活動が求められる現場(昼休みに電気を消す、裏紙を使うなど)、漸次的な改善があるのみで、ダイナミックな結果を得られない実態。
そんなことに悶々としていた折、同書に触れました。ブレトンウッズ体制が描いたビジョンの限界は、貧富の格差、環境、テロなどさまざまな問題を生み出している・・・、本書は「現在という歴史上のこの時点において、国家や市民社会ではなく、営利を目的とする企業こそが人類を持続可能な社会へ導く鍵を握っている」と主張します。日本の社会起業家は、MNC(Multinational Corporation)にあり、という自分の仮説を後押ししてくれる著書です。
企業は変化を起こす強力な主体であり、政府や強い市民社会と連携して、より持続可能な未来を築く能力を備えている。
しかし同時に、企業に存在する「短期」と「長期」という本質的な矛盾や、持続可能性への前向きな取り組みと過去の投資や古い(しばしば持続不可能な)習慣とのバランス問題についても本書は指摘している。
今、我々の釈迦いはかつてないほど、気候危機、貧困、世界的疫病、水不足、人口移動といった構造的・長期的問題に対処するための新しいモデルを必要としている。持続可能性の時代は到来したが、今我々は経済システム全体にそれを浸透させねばんらない。そのためには、企業の環境的・社会外部性をすべて考慮にいれ、資本が最善の用途に効率的に配分されるよう、市場を進化させなければならない。
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