Inspired by Nikkeinews 20100517 核心
ギリシャのソブリンリスク(政府債務の信認危機)に端を発したユーロ圏の混乱は、欧州初の金融危機に連鎖しかねなかった。IMFが89兆円!もの緊急支援を打ち出し、欧州中央銀行が最後の貸し手として最悪の事態はさけられた。
本記事は、「ユーロ混乱の最大の問題は、ユーロ創設の原点が忘れられたところにある」と指摘する。
冷戦終結を受けた東西ドイツ統合こそがユーロ創設の出発点。当時のミッテラン仏大統領の呼びかけを受けて、コール独首相は、ドイツの欧州から欧州のドイツへと転換することを決意し、最強通貨マルクを放棄し、ユーロ創設を決断した。WWⅡ以後の欧州統合進展の背景には、経済大国ドイツの懐の深さがあった。「ドイツの譲歩」が欧州統合の原動力となり、めぐりめぐってドイツの国益にもつながった。
今後、「金融政策は一つだが、財政政策はばらばらという構造問題の解消」「欧州中央銀行の金融監督機能の強化」「政治統合への道への再挑戦」などにより、主権の共有というロング・ビジョンにむけて、再度歩みだす必要があると説く。
「主権の共有」は長い道のりだが、国境を接する国々が血を流すのではなく、知を結集することで発展を支えあうビジョンをけっしてあきらめないで欲しい。イギリスには若きキャメロン首相が就任した。イギリスはユーロ非加盟であるが、ユーロの創設・再結束に貢献をしてきた名裏方のようだ。ユーロ創設の際は、ブレア首相が巧みなフランス語でEU首脳会議をとりしきった、世界経済危機の打開で先頭に立ったのはブラウン首相だった。主役・脇役・裏方のパワーを結集し、ビジョンを実現をしようとする欧州を応援したい。
また、日本人である私たちが学ぶべきは欧州の勇気ある決断と、帝国主義で周辺諸国に痛みを与えた国としての責任を日本がまたどのように果たすかだ。自国経済の破綻ばかりに目を取られてはいられない。
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