Inspired by 20060406 Nikkeinews 経済教室
川勝平太教授の投稿『世界に誇る美の国に』より。国家の変遷を描いた興味深い文化論。日本はいまだキャッチアップ・システムを引きずっており、結果として米国型「富国(経済力)強兵(軍事力)」のモデルを超越できていないと指摘する。
日本は明治時代、横井小楠『国是三論』により新日本の建設に必要な「富国・強兵・士道(徳)」という要素が定義された。この考え方は天皇が統帥権を持っていた時代の考えである。欧州でも国王が主権を握っていた「主権国家」の時代には富国強兵路線がとられたものの、フランス革命で主権が国民に移り、その国民(の代表)によって地域間の闘争という不幸な結果を招いたことで、新たな路線を見出す動きが出てきた。悲劇を経験した欧州は、主権を一部譲り合い地域ky報道体を形成し現在の欧州連合に至っている。主権国家(君主主権)→国民国家(国民主権)→地域共同体という国家の変容には学ぶべきものがある。
互いに交戦をしないように、米国型の富国強兵路線を越える新たな力を、川勝氏は「文化力」と呼ぶ。この文化は、毛沢東時代の政治色のあるものではない。「ウェイ・オブ・ライフ」と定義される「カルチャー」である。生き方そのものを文化と呼ぶ考え方である。
日本にはハレ(非日常)とケ(日常)の文化があるが、これまでのように日本のハレ(学問・芸術・芸能など)の文化に視点を宛てるだけでなく、むしろケ(日常の暮らし)の文化に重心を置き、それが磁場のように他国の人々をひきつけ、求心力を持つようになることが文化力である。日本人の生き方があこがれられ、追いかけられ、模倣されることを積極的に目指すことである。
ハードパワー一辺倒の国家論、世界論を超えた、世界中の人材をひきつける文化的景観(日本人の自然との融合を志向する精神性が宿る場)豊かな美の国への創造的転換。アジア各国のモデルとしての期待も高い?
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