Inspired by Nikkeinews 20060407 経済教室『日本を磨く』
国家はどのように形成されるのか、以前のblogでも記述したが、言語や文脈を共有する範囲によって共有されるという。その点で、国家を成り立たせる要因としてメディアの存在を指摘する本稿は興味深い。
近代国家を支えてきたのは、「マスコミ」である。国民共通の話題、視点を提供する新聞やテレビの存在なしには、共同体性は崩れてしまう。ITの台頭にともない、国家も変容するというのが、西垣(東大)教授の主張だ。西垣氏によれば、「中央集権的な国家ではなく、分権的な自治州の連合体のようなものだ」という。一極集中国家では多様な情報を吸収しきれず、均一的な生産消費に傾きがちである。そのため、魅力ある文化や経済活動を生み出しにくくなる。アナログメディアの時代には、モノと情報が一体かしていたため、容易には操作できず、それゆえ中央拠点に情報と物質とを集積し、そこで枢要な情報処理と知的生産活動を行い、その結果を全国一律に提供することが安定した有効性を持つ。しかし、ディジタルメディアの時代には、一極集中によって標準化・均一化がされすぎると国民のユニークなアイデアや創意工夫がつぶされてしまう。
西垣氏は、「海外を含め極間で動的な融合が進むことが望ましい。ハイパー超多極分散国家を実現することである」と主張する。
ナレッジ・マネジメントの世界でも、組織や国家全体のパワーを高めるために、情報のハブをつくり、情報の再配布を行うケースが多い。それ以上に、大局的な視点から、動的な融合を生み出す支援を行うアプローチがますます重要になっていると解釈できる。
問題は、その支援策がどのようなものであり、そこで活動する人々がどのように振舞うべきかである。
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