Inspired by Nikkeinews 20061226 「イオン、流通業界で初めて定年65歳に延長」
イオンは、フルタイムで働くことを条件に六十五歳まで定年延長する制度を来年二月から導入するという。卸売・小売業はパート化を推進してきたが、人材が集まりにくく正社員採用に回帰する動きが出てきている。人手不足感のある企業では定年延長で経験豊富な従業員をつなぎ止めたいとの狙いもある。
役職定年は設けず、六十五歳まで五十九歳時点での職位や職務を継続する。短時間勤務を希望する場合は退職して契約社員となる。また、定年延長社員も、途中で働き方を変更することも可能だ。総じて、買い手優位の制度方針で、人手確保を優先したい同社の思惑を感じ取ることができる。
ここで、少しおさらいしよう。
■改定高年齢者雇用安定法■
従業員に六十五歳までの就労機会を与えることを企業に義務付けた法律。今年四月に施行された。企業は2013年までに段階的案対応が求められるが、導入には四つの選択肢がある。
- 定年廃止 (日本マクドナルドなど)
- 定年の六十五歳までのひきあげ (イオンは六十五歳まで、三井物産、川崎重工業、富士電機ホールディングスなどは六十三歳まで)
- 勤務延長
- 再雇用 (高島屋、三越、西友など)
現状では、多くの企業が再雇用制度を選んでいる。定年退職後に再雇用契約を結びなおすので、処遇や就業内容を柔軟に変更できる。賃金が大幅に減った場合、賃金のほかに高年齢雇用継続給付金などの公的給付も受け取れる。給付をあわせた手取りは六十歳時点とそれほど変わらない。
それでも、再雇用制度を選択する企業が多いのは、人件費の抑制効果がもっとも大きいからだ。ただ、人材不足のある業種、経験豊富な従業員の確保が重要な業種は、定年延長を選択する可能性が高い。
60歳超の人材市場の活性化は、ワーキング・プアの構造問題を抱える日本にとって重要な課題だ。現在は、市場原理で雇用制度の選択が進んでいる。企業には、60歳超の人材を尊重し、60歳を超えても能力を生かしてもらうためのキャリア像を描くことが重要だ。
一方、個人には、60歳を越えたときに自分がどのような市場価値を持ちうるのか、若いうちから考えて準備する姿勢が期待される。実際に、私の周辺にいるDeep Smart(ホワイトカラーの匠)は独立コンサルタント、大学教授など、サラリーマン時代に蓄積したノウハウや実践論をもとに、定年延長、再雇用契約などとは無縁の第二の人生を歩みだそうとしている。60代で、自律したサービスプロバイダーとなることができるキャリアビジョンは、少子高齢化時代に欠かせないものとなるだろう。
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