閉塞感漂う20代、30代のキャリアデザイン。自己啓発セミナーに行けば、自分のやりたいこと(価値観)を見つめて、価値観に基づいて、能力を磨いたり、新たな仕事に挑戦したりしなさいという。自分の能力が気づかないうちに陳腐化することのないように・・。
しかし、多くの大企業でバブル時代の大量採用世代が昇格のポストを社内競争でうばいあっている状況である。新たな仕事に挑戦しようにも、そのポストがない。若い世代が相対的に少ないために、ずっと使いっぱしりのような仕事をさせられている。多忙な日々の中で、将来への焦燥感を抱く従業員も多い。
その解決策として注目されるのは、社内兼業である。裁量労働が進むと、能力の高い人ほど、多様な仕事に挑戦することができるようになる。仕事の幅を拡大したいという人は、早く仕事を終わらせ、その分新たな仕事をすることができる。
この取り組みが導入しにくい組織の一つが、SIerである。この手の企業は、人的資源を時間で管理するために、「早く仕事を終わらせる」という質を正しく評価し、業務に反映することができないのである。
背景にある問題は、工数で価値を評価しようという思考である。コンサルティングであれば、工数よりもソリューションの質で評価される。SIer組織も、そのクライアント組織も、人間の提供する価値を時間という概念で管理しなくなる日は近い。
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