Inspired by Nikkeinews 20070501 経済教室 『経済学を語る 異分野の視点4』
東京大学船舶/経営システム工学宮田教授は、「経済現象の複雑化に際し、経済学は複雑事象を単純化して考えるというこれまでの線形的なアプローチを脱却する必要がある」とし、全体先的を追及するモデルの構築に、理系の非線形モデルを活用すべしと説く。
コンピュータサイエンスの発達は、複雑な問題を非線形なまま説く手法の開発に貢献した。自然科学以上に複雑さ、非線形さを見せる社会科学の領域では、非線形さを科学的に解明・制御し、より秩序ある全体最適の社会へ導くことができる部分も多い。
こうしたアプローチを進めるには、問題が線形解を持つ楕円型か、非線形解しかない双曲型かをみきわめる必要があるという。双曲型の問題とは、複雑性が高かったり、時間発展性(時間の経過につれ状況が劇変する性質)が高い問題である。
宮田氏は、双曲型の問題の例として、道路経営をあげる。毎年五兆円の建設修繕管理費用と十二兆円の時間価値損失をマネジメントする事業と定義すると、渋滞発生などを回避し、車の流れを円滑にするための非線形事象の解明が不可決となる。
宮田氏は、経済をそれぞれの産業分野や企業に分解し、双曲型問題を解決するビジネスモデルの創造、経営改革を進めるチャンスを指摘する。米国は、科学的な手法によるサービス産業の進化が進んでいる。とくにサービスイノベーションは、国際競争力を高める起爆剤となることに、多くの経営者が気がつき始めている。社会科学と自然科学の英知を結集し、社会全体最適に役立つモデルを創造することは喫緊のテーマという宮田氏の主張に、共感を覚えた。
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