Inspired by 『動機づける力』ダイヤモンド社
引用------------
ロンドン市警のある警官が、一人の女性Uターン違反の切符をきった。その醸成は、どこにもUターン禁止の標識がなかったと抗議し、裁判に訴えることを決意した。ついに審判の日、彼女は申し立てを行うのが待ち遠しかった。ところが、彼女が自分側の事情を話し始めようとしたときおろ、裁判官は彼女が話そうとするのを制止し、即座に彼女の言い分を認める裁定をくだした。
彼女は、結果には満足でもそのプロセスに納得ができなかった。いらいらを募らせるとともに、ひどくみじめな気持ちを感じていた。
フェア・プロセスは、人間の根本的な欲求に応えるものである。みな、その組織内での役割が何であれ、人間として評価されたいと思っている。だれも自らの知性を尊重してもらいたい。また、自分の考えを真摯にうけとめてもらいたい。そして、個々の意思決定の背後にある合理性について理解したい。
- エンゲージメント :
一人ひとりが自分たちに関係する事柄に関する意思決定について、意見が求められる、あるいは相互に意見交換して議論する。反論を奨励し、鋭い意見や洞察を促し、集団の知恵をより高める。その結果、経営陣の優れた意思決定が行われると同時に、実行でも関係者のコミットメントを高める - 説明 :
関係者全員が、最終的にどのような決定が下されたのか、その理由を理解することである。意思決定の基本にある考え方について説明することは、マネジャーが社員の意見を考慮し、かつ企業全体の利益から見ても公平であることを、社員たちに納得させる。たとえ、自分の意見が却下された場合でも、説明があれば、学習を強化する協力なフィードバック・ループにもなる - 具体的な期待 :
新しいルールや方針を採用すると決定したならば、どのような基準え評価され、失敗した場合には、どのようなペナルティがあるのかについて、社員に知らせなくてはならない。ルールの徹底よりも、正しく理解されているかを重視する。
フェア・プロセスが重要であるのは、知識経営の要請に応えるために、このような人間の心理面への配慮が欠かせないからである。知識の創造と共有は、第三者が監督したり強制したりできない、人々が自発的に協力した場合に起こる。
フェア・プロセスは、強力であるにもかかわらず、実行する企業が少ないのは、たいていの人が自分は公正に振舞っていると考えているから。しかし、実際には、フェアプロセスと、公正な結果(権限・経営資源・成果報酬)を混合している。フェア・プロセスが実行されにくい理由は、「力」の問題が関係している。マネジャーの中には、知識は力であり、成功と失敗のルールをわざとあいまいにすることで、自分の裁量権を守ろうという意識が働く。マネジャーは、自分がどのように権力を行使しているか、意識することは稀だが、マネジャーにすれば、フェア・プロセスは脅威なのである。
フェア・プロセスを採用しなかった場合に生じる機会損失(公にされなかった意見、把握できなかったやる気など)の大きさに目を向け、知識経済時代のマネジャーのあり方について、マネジャー自身と議論する場が求められているのだろう。
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