Inspired by 『動機づける力』ダイヤモンド社
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イギリスの劇作家ジョージ・バーナード・ショウの戯曲『ピグマリオン』のなかで、イライザはこういう。
「おわかりでしょう。(ドレスの着こなしや話し方など)習ったり、覚えたりできることは別として、本当のところ、レディと花売り娘との違いは、どう振舞うかではなく、どう扱われるかにあるんです。ヒギンズ先生にとって、あたしはいつまで経っても花売り娘なんです。先生はいつだってあたしを花売り娘として扱っていらっしゃるし、これからもずっとそのおつもりなんです。しかし、あなたの前では、あたしはレディでいられるんです。なぜなら、いつもレディとして扱ってくださるし、これからもそうでしょうから」
ピグマリオンとは、『マイフェアレディ』として映画化され広く知られる作品である。この作品に描かれているように、人間は、自分に期待されていることを敏感に感じて行動を選択する。仕事の関係でいえば、マネジャーが部下に何を期待し、どのように扱うかによって、部下の業績と将来の昇進がほとんど決まってしまうということである。
優れたマネジャーの特徴とは、「高い業績を達成し、輝かしいキャリアを構築することができる」という期待感を部下に抱かせる能力のことである。とくに、入社時に高い期待を感じていたかどうか(どのように扱われていたかどうか)という要因は、後の昇進結果との相関がきわめて高いことが証明されている。
この点から、若い社員が入社後の直接のかかわりを持つ、ライン・マネジャーの底上げが急務であるといえる。通常は、若手社員やプロフェッショナルな才能を育成する役割を持つラインマネジャーは、ジェネレーションギャップなども手伝い、若手に対して概して厳しく接してしまう。
マネジャーが未熟であると、若手の経歴を台無しにし、プライドを傷つけ、人間としての自己イメージまでもゆがめてしまう。
ところが、マネジャーが有能で、しかも部下に大きな期待をかけている場合、部下の自信は増大する。そのようなマネジャーは、自分が意識している以上に「ピグマリオン」なのである。
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