Inspired by Nikkeinews 20071001 経済教室 エコノミクストレンド 東大岩本康志教授
海外では、政策立案に先立って、社会実験を実施し、政策効果を客観的に測定する方法が根付いているという。
Mフリードマンが提唱した負の所得税も、「ニュージャージー負の所属税実験」により、検証が行われた(生活保護から負の所属税導入により、労働のインセンティブは高まるかどうかの検証。生活保護は、最低生活費と所属の差額分が支給されるため、生活保護受給者が追加的に一円稼いでも、手取り収入は増えず、労働意欲をそぐとの指摘がある)。この実験は、MITの大学院生が連邦政府に社会実験実施を提案し、採用されたもの。ニュージャージー州の1200人を対象に、調査が行われた。このデータを幅広い研究者が利用して、数多くの良質の実証研究が生まれた。その結果、負の所得税が低所得者の労働供給を高めるというコンセンサスが得られた。
岩本教授は、日本で政策の社会実験活用が進まない理由は、「政府は間違いを犯さない」という建前が強すぎるからと指摘する。政府や有識者が政策の実行前に、その成否をすべて熟知しているような現実にそぐわない無謬(むびゅう)主義は、政策の正当化が必要以上に図られる。
「政策の正当化が必要以上に図られる」・・。これは、政治だけでなく、経済活動、教育など、さまざまな場面で陥りやすい問題である。「知らない」ことに謙虚になり、「トライアル」から学ぶ姿勢の導入こそ、私たち日本人が学びたい姿勢である。
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