Inspired by KEIO 新・大学院
来春、創立150年を機に新大学院を設立する慶應義塾大学。そこでは、以下の能力を重視する。
- テクノロジーを理解する力
- それを具体化するデザイン力
- リソースを総動員して活用するマネジメント力
- 枠組みを変えるポリシーの力
この四つの能力が重要になった歴史的経緯について、竹中平蔵氏は次のように語っている。
「日本の経済成長は1960年頃からはじまったが、当時池田内閣のブレーンであった下村治氏は「将来を作るのは資本の力」と主張し、設備投資による持続的な生産性向上の必要性を説いた。日本は、将来への投資、資本の蓄積により年率10%の成長を果たした。しかし、経済学的な「コンバージェンス・セオリー(収斂理論)」でいわれるように、経済成長が成熟期に入ると、投資比率と資本の生産性が低下し、成長率も下がる。中国と日本の差も、将来的には収斂し、差がなくなるはず。ところが、90年代にこうした理論を覆す(くつがえす)出来事が起きた。世界でもっとも成熟化している米国経済の成長率が急速に高まったのだ。IT革命がもたらした新たな社会では、これまでの常識は通用しない。従来は競争力が重要だったが、今後は果たして競争に意味があるのかわからない。このような時代では、何がおきても対応できる力が必要だ」
そのほかに、「技術革新と情報化の進展により、企業はさまざまな投資リスクにさらされるようになった。これから発生しうるリスクを的確に認識し、投資バランスをとりながらどう対処するかを的確に判断できる能力が重要」「グローバルに通用する高度な専門性と幅広い知識を有する人材が必要。とくに、顧客ニーズや製品ライフサイクルの視点を持ち、トータルにマネジメントできるリーダーの育成が急務」「アナログの時代には、得をする人と損をする人に分けられていた。これは情報を隠すことで、自分をまもってきたから。デジタル時代は、自分だけで守るよりも全体で共有し、全体の地位を向上することで自分も得をするというシステム」など、新たな時代の人材像が議論されているようだ。
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