Inspired by NikkeiBusiness 20080128 『特集 株式会社自民党』
松下幸之助氏が明示した250年計画と使命感。「水道の水のように、誰もが物資を手に入れられるようにすることが、産業人の使命である」とした水道哲学である。
産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない。水道の水は、通行人がこれを飲んでもとがめられない。それは量が多く、価格があまりにも安いからである。産業人の使命も、水道の水のごとく、物資を安価無尽蔵たらしめ、楽土を建設することである」と、松下幸之助はいわゆる「水道哲学」を述べ、その使命達成のための「250年計画」を発表するとともに、当社が真の創業に入る記念すべきこの日を創業記念日に制定しました。
この水道哲学の実現のために、松下電器産業は圧倒的な販売網(全国約二万の地域販売店)を構成し、大量生産・大量販売を具現化する組織をつくりあげた。マネシタと呼ばれようが、他社から一気にシェアを奪うこの販売網こそ、競争優位性を生み出す知識資産であった。
しかし、販売チャネルの変化(家電量販店の登場、インターネット登場によるチャネル多様化)は、かつての強みを重荷に変えた。過去の強みは強力な変革抵抗勢力となり、結果として販売店を守る方針をずるずると転換できずにいた。その後、中村会長の改革により、競争力のある販売店のみ生き残るメカニズムへと転換し、中核販売店6000~7000店まで絞り込むことに成功している。
本記事の指摘は、政治メカニズムの転換をこの産業メカニズムの転換になぞらえるというもの。圧倒的な販売展開力と集票機能を重ねる。
政治の世界でも、環境変化が進んでいる。たとえば、分配可能予算の大幅縮小だ。竹中平蔵氏は、今後の政治で求められるリーダーシップについて、「利益分配からリスク分配を行える政治家が求められる」と語っている。「このまま続けると、Aというリスク。今、変えるとBというリスク。どちらもリスクがあるが、どのリスクを選択するか?」とうい、民意を問い、合意を獲得する政治家だ。
環境変化に合った、構造の転換を行わなければ、かつての強みは巨大な重荷となる。この構造的問題は、組織論の観点から問題を解くヒントになりそうだ。
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