Inspired by Nikkeinews 20080217 きしむ世界
グローバル化の地殻変動は1989年のベルリンの壁崩壊が発端。米ソ冷戦が終わり、唯一の超大国となった米国は「経済成長が民主主義と自由化を促す」というシナリオで世界に市場経済を広げた。まず中国、インド、東欧諸国が製造業やサービス分野の投資を受け入れ、成長軌道に乗った。グローバル化は世界の成長を一気に加速させた。
ところが、カネや人材、資本の自由な移動が進むとグローバル経済は米国のシナリオとは違った展開を見せ始めた。中国などの新興国経済は2007年も7.4%の成長を記録。世界の輸入増加の半分以上を担った。
新興国の急成長が資源や食糧の重要を拡大させ、一次産品の価格を押し上げる。その恩恵を受け、ロシア、中央アジアや中東産油国が成長の列に加わった。
一方、一次産品の高騰は資源を持たない途上国を直撃。アフリカ東部エリトリアは国内総生産の5%分が輸入農産物の値上がりで消えた(世界銀行試算)。
「開放的な世界経済を利用しながら自国の閉鎖性は温存」、新興国は、非対称の自国の利益を前面に出した成長モデルを追う。需要鈍化と高齢化が進む先進国は、この動きを嫌いながらも新興国の購買力を前に強い発言を控えがちだ。「高い収益を求めて、非民主的な存在とも共存する」状態にある世界経済、持たざる国の視点で描く世界経済の新秩序の描出が期待されている。
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