『戦略不全の論理』に続き、『戦略不全の因果』を三品和広氏がまとめた。
分析の基本骨格は、
経営者の任期・意志・能力 → 主業の選択(事業立地) → 利益成長(持続力・跳躍力・リスクの三指標で、心電図のように利益成長の波形を読む)
(その不在が戦略不全)
というもの。
経営成果の分かれ目は、主業の選択(事業立地)の巧拙、不毛立地からの脱却(転地)できるかだとする。全社戦略(事業の選択)を主、個々の事業戦略を従とする明快な主張を展開する。
そのうえで、主業選択を行った経営者の長期時系列分析を行う。ここが本書の核心部分だという。大戦を起点とする戦後日本産業の長期波動と、創業者から専門経営者へ移行する企業ライフサイクルの位相が一致すれば、創業経営者が主業の選択に成功しやすい。ずれれば、専業経営者が立地・転地を誤り、戦略不全に陥りやすい、とする。
藤本東大教授が指摘するように、本書では「タイミング決定論」(長期波動の逆境)を克服する示唆は提示されていないが、戦略不全の分析として大変興味深い。
最近のコメント