Inspired by Nikkeinews 20080526-27 正社員って何?
正社員を取り巻く壁が取り払われつつある昨今、非正規社員の処遇改善が進み正社員化が進む一方、正社員の待遇劣化の指摘もある。低賃金や不透明な将来像に悩む人も増えてきている。
1. 二極化がもたらした、正社員を希望しない動き
正社員とは、期間の定めのない社員のこと。一般には転勤や長時間労働を受け入れる一方、昇進や昇給、終身雇用が期待できる働き手を思われてきた。一方、企業にすれば解雇が難しいうえ、社会保険や年金の金銭負担が課せられるため、リスクを伴う。そこで立ちあらわれてきたのは、「幹部候補生社員」と「(低賃金で昇進の壁がある)周辺的正社員」の二極化である。データでもホワイトカラーの格差は、賃金の金額でも意識面でも広がっているという。
実際に、「派遣から正社員にかわり、張り切って資格も取得したが、仕事も給料も変わらず、増えたのはサービス残業だけ」という例もあるという。
2. 正社員の価値は最初の十年にある
厚生労働省の調査によると、大卒の男性標準労働者の所定内賃金は、22歳から35歳までほぼ二倍に増える。会社から様々な教育を受け、収入も大幅に増えるこの待遇は、非正規社員では期待しにくい。一方、35歳になると役職がつき望む仕事ができなくなりがちである。とくに昨今では、55歳と22歳の所定内賃金を比較すると85年では3.7倍だったが、05年には2.9倍まで縮小し、この傾向が続くとみられている。
つまり、当初の十年間で正社員の立場を活かし、その後は望む働き方を探す、これが今後の正社員の一つのモデルになると本稿は指摘する。
社会全体では、若い労働者が基礎能力を実践の場で磨く機会を提供する、10年をめどに個人も会社も望む働き方へシフトできるよう、働き方の機会を多様化する(幹部候補コース、低賃金でもワークライフバランス優先コースなど)努力が期待される。
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