Inspired by Nikkeinews 20080708 経済教室「女性が変える日本経済」
「女性が変える経済と金融」研究プロジェクトの調査は、4つの動向を示唆した。
- 女性が経済を変える(二つの理由)
「追い付き効果」「と「構成比効果」。追い付き効果とは、日本が国際比較で劣る女性の就業率管理職比率などが今後是正されるとの予測にたつ。また、構成比効果とは、男性とは異なる経済行動を行う女性が経済主体構成のなかで存在感を高めると経済状態が変化するというもの。
実際に、女性の消費性向は旅行回数や趣味への投資など、こだわり・品質重視志向が強く、貯蓄行動でも女性のほうが出し入れ頻度が低く、リスクテークに慎重、将来不安に備えて貯蓄するという目的志向が強いなど、男性との違いが発見されたという。 - 女性の力の活用は経済を元気にする
マクロでは、1997-2007年の実質収入総額では男性が4.4兆円の減少であったのに対し、女性は6.0兆円の増加。労働人口減少に対する頭数の確保という視点ではなく、高学歴女性の潜在力を活かす方策によって、経済潜在力をそのものを喚起しうる。
ミクロ的には、女性活用を積極的に進めている企業は収益性や将来性が高いという実証結果がある。女性の登用は、「インプット(労働時間)よりもアウトカム(成果)を重視した評価制度」、「専門能力を備えた自立した人材の養成」、「多様な働き手の能力を活かすダイバーシティマネジメントの確立」などが必要になるが、これは企業がめざす方向性そのものである。 - 女性の活用は、構造改革を推進する
①長期雇用を前提(結婚、出産など労働機会から離れる女性には教育訓練コストをかけにくい)
②年功制(正規、非正規との賃金格差が生じ、短時間労働を志向する女性は相対的に低い賃金の仕事しかできなくなる)
③新卒採用→企業内でのローテーションを通じた育成(途中からの参入が難しく、高学歴女性の子育て後の再参入を困難にしている)
古い時代のTheoryに起因する上記の要因は、女性活用という大義名分のもとに、革新できる可能性がある。 - 女性の力を生かしていくためには、広い視野で対応の検討が必要
「女性問題とは、男性問題でもある」
非経済的分野(家事や育児)で男性参加が低い今、男女共同参画社会のために、「家事・育児の男女共同参画」が不可欠。女性の進出は、ライバルである男性の働き方を効率的にする。職場全体の生産性向上に寄与しうる。
政策の再設計も欠かせない。税制面、年金の制度設計、企業の手当、育児と就業を支える制度的基盤の整備は不可欠である。
経済合理性もあると実証された、「女性の活用」。女性のパラダイム・シフトは進む中、男性のパラダイム・シフト(女性に権限がシフトしているのではなく、男性の既得権益が中立化されているとの認識を持ち、嫉妬の視点から相互研鑚の視点へと移行すること)を支援することが、「女性活用」モメンタム(勢い)を活かす重要なポイントではないだろうか。
男性のパラダイム・シフトののちには、また女性にパラダイム・シフトが求められる。おそらくそれは、「女性活用」というモメンタムに依存できない、真の自己磨き、自我の発見という、挑戦的な課題へ取り組まざるを得ない自由を手にすることだろう。
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