Inspired by Nikkeinews 20081219 経済教室 ケント・カルダー氏(元駐日米大使特別補佐官)
「金融、エネルギー、環境など日本が豊富な知識と能力を備え、世界への貢献が求められている分野において、力を発揮できていないのは、まことに残念・・・」。
カルダー氏は、これを政治の構造問題と指摘しています。多くの国民、つまり都市部の有権者は緩やかな政治改革を望んでいるが、それを引き起こしにくい政治体制になっていて、具体的に三つの問題を指摘しています。
一つは、小選挙区比例代表並立制だが、六割以上が小選挙区で選らばられる点。勝者による総取りの色合いが濃く、国民の支持を得ているときにはよいが、得られていないときには、衆院解散はリスクが高いこと。二つ目に、政治改革で先頭に立つべき若手政治家や知識人が将来の不確実性の大きさにたじろいでいる点。三つ目に、日本の社会が均質で、強い野党の支持像となりうる、有力な少数民族や地域、明確に定義された労働者階級などが存在しないこと。民主政治にダイナミズムがもたらされない点は、他の民主国家と比べても顕著な特徴となっている。
これに対し、ドイツは同じ併用制を採用しながら、比例代表を主体とし、革新的な第三政党が政策立案に関与する余地を維持している。また、首相を議会の絶対多数で選出、不信任案は後継首相が過半数の支持を得て決まらない限り議決できないことで、強力な地位をもつものとしている。さらに、外交に関して、日本よりも大きな役割を市民社会に与えている。ドイツ・マーシャル基金などのNGOが外国との文化交流や議論形成に大きく貢献している。
このような十層構造が外交政策の立案に創造性を育んだというカルダー氏の指摘は興味深いと思うのです。これは、政策にとどまる方法ではありません。企業の活動、標準化などの問題も、市民参加の場をつくることが、創造性を育むという点で、重要なのではないでしょうか。
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