Inspired by Nikkeinews 20090217 丸の内キャリア塾 脳科学者池谷裕二准教授
脳は、身体を通じて情報を得る。つまり、「脳による理解」の前に、「身体の行動」があるということ。脳の判断があって、体に指令が下されると思いがちだが、実際はその逆である・・・。池谷氏の指摘は、つねに斬新かつ直感的に理解していることを科学的に証明してくれる点で、いつも参考になります。今回は、「直感」について・・・。
「吊り橋効果」に見られる恋愛感情(高い吊り橋でドキドキしているときに、恋心を告げられると、相手が好きなのだと錯覚する)、横になって布団にくるまれると「眠い」と脳が判断して眠る、掃除してみたくなかったけど、やり始めたら気分が乗ってくる・・・、身体の行動を受けて、「やる気」という脳の判断が導かれたケースである。
やる気やモチベーションは、能の「淡蒼球(たんそうきゅう)」という部位が活性化することによって生まれ、淡蒼球を活発にするのが、「線条体(せんじょうたい)」という部位である。線条体は、身体にかかわる記憶(自動車の乗り方、ピアノの弾き方)を担うと同時に、「直感」を生む働きがある。まったく異なると思われるこの役割にも共通の特徴がある。
一つは、「無意識かつ自動的かつ正確であること」。コップを持ち上げることも、ほぼ無意識的に、ただし指先から肩に至る筋肉が緻密に連携した結果できること。直感も同様に、ほぼ無意識的で自動的、かつ多くの場合的を得ている。
もう一つは、「繰り返しの訓練によって身に付く」こと。子供は、水の入ったコップを持つことはできないが、バランス感覚などを訓練して身に付く。同様に一流棋士に見られるように、直観も厳しい訓練で得られるものだ。
池谷氏は、直感を閃きは実はまったくことなる。ひらめきは、大脳皮質という論理的思考をつかさどる部位によってもたらされるもので、答えの根拠を説明できるもの。直感は、その説明がつかないものを言うそうです。
大脳皮質は、哺乳類だけが持つ部位で、進化の歴史から見ても新しい。一方、線条体は非常に古い部位で原初の生物にもあったもの。だから、「ひらめきや論理性」のみを重んずる社会よりも、言葉にできない直感を大切にする社会のほうが、人間の本質に合致する。線条体は実は大人になってからも成長するもの。もっと体感的な直感をどんどん磨いていってほしいというメッセージに、元気をもらった気がします。
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