Inspired by 慶應MCC通信
五・七・五・七・七 から広がる世界。
友人が、「散文よりも和歌で世界を表現したい」と語っていたことから、にわかに和歌への関心が高まっています。そんな折、歌人で早稲田大学教授の佐佐木幸綱氏の紹介記事が目に入りました。
日本が鎖国を解き、明治時代に入って世界に開かれた国となった時、英国の代表的な文学ならシェークスピア作品と言われるように、日本を代表する文学作品に「万葉集」が仕立て上げられ、国家プロジェクトとして日本国民皆が万葉集を読むことを推進したのだそうです。
この時なぜ、万葉集が、いわば「国民歌集」として選ばれたのでしょうか。
佐佐木氏によれば、明治時代における「我」、自我の問題が根底にあるそうです。それまで家のため藩のために生きよと教え込まれた人々が、自分のために生きようとする、そんな時代背景があります。そして万葉集は荒削りでシンプルながら、「われ」、すなわち「自分自身」の心境などを歌った短歌が多く見られ、「日本人の原型」として押し出すにふさわしいと考えられたということです。
なるほど、日本人の自我意識を考える好材料が、万葉集というわけですね。
今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな
この歌の詠み手は男性ですが、歌の主人公は恋人を思っているうち、明け方を迎えてしまった女性。詠み手と主人公を違えて、表現する世界観。なんともワクワクします。
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