Inspired by Nikkeinews 20100218 経済教室 玄田有史
日本型雇用の三度の危機。一度目は、60年代の資本や貿易の自由化が進んだ時期(対策として、能力給導入)。二度目は、70年半ばの石油危機直後(職能資格制度)。三度目は、90年代のバブル破綻期(成果主義)。
同じ周期であれば四度目の危機を迎える2000年代半ば以降は、非正規社員のあり方に対し、変革が見られると玄田さんは指摘します。
非正規社員というと不安定雇用の側面で捉えられがちだが、厚生労働省「賃金構造基本調査」によれば、短時間労働者の同一企業への継続就業年数は延びている。 (右図参照)30~34歳の短時間労働者の平均勤続年数は80年代に比べて一年以上延びた。同一年齢の女性性社員の平均勤続年数が2000年代に縮小しているのとは対照的。 総務省統計局「就業構造基本調査」によれば、雇用期間が一年以上の日正規社員の割合が、6.9%(87年)から22.0%(07年)まで拡大するなど、非正社員の継続就業化が進んでいる。この動きは処遇改善にも影響をもたらす(実際に、年間40万人程度の非正社員が転職により正社員になっている)。2~5年ほど継続勤務の経験があると、正社員化に成功しやすい。 また、非正規社員は仕事上の学習機会は乏しいと考えられてきたが、昨今では企業内の継続就業経験、仕事ぶりが評価され、正社員への内部昇進につながっている。玄田さんは、正社員と非正社員の間隙(かんげき)を埋める中間形態に「平常時安定・異常時柔軟」の准正社員を置こうと提案しています。
不確実性が高まる中、企業は異常時の調整が可能な非正社員の採用を希望。その上で労働力不足への懸念もあり、有為な非正社員に長く勤務して欲しい願う。一方、非正社員は安定的な就業機会を求める。経験を蓄積した非正社員は次のステップへ進むことが容易になるという面も重要だ。そのために労働契約法のこの一文を変えるべきと主張「使用者は期間の定めのある労働契約について、やむをえない事由がある場合でなければその契約期間が満了するまでの間、労働者を解雇することができる」 今はこの「やむを得ない事由」があいまいで、合意が形成されないままリーマンショックが発生した。解雇ルールの透明性を高めることが、企業が安心して非正社員を採用し続けられう環境となる。
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