Inspired by Nikkeinews 20100508 動き出すインフラ輸出
横浜市の水道局職員と話をしました。彼らの課題は山積み。環境問題への対応、ボトリング・ウォーターとの戦い、そしてフランスなどの水メジャーとの戦い。数年前には水道局職員が意識するステークホルダーマップには表れていなかった登場人物とのかかわりが求められています。
新興国でのインフラ投資予測のうち、水に関する市場は20兆円以上と試算されています。電力や鉄道がそれぞれ約10兆円ですので、それを合計する規模が、とくにアジアで求められています。
仙谷大臣はベトナムへ、直嶋大臣はインドへ、前原大臣は米国・ベトナムへ・・。主要閣僚が外遊し、インフラ獲得の営業マンとしての動きを強めています。しかし、本記事では、急ごしらえの官民一体を見透かされ、分野ごとに分担した経営体であるため、ノウハウが分散している体制や、財務リスクへの対応不足が、諸外国からも指摘されているといいます。
水インフラはとくに水道の保守・管理のノウハウを自治体が保有していました。環境配慮型都市の整備事業で、そのノウハウは生かされるものの、ノウハウ移転のタイミングでは、「公務員の就業規定」が壁になり、具体的なインドの整備事業への協力体制が描きにくいといいます。
インフラ事業の輸出が、海外に比べ後手に回っているのは確かですが、どうも経済界の要請に押されて物事を動かしすぎているように思います。大臣の外遊は、事業のセールス活動には不可欠ですが、国内問題の対応に支障をきたせば、今回の口てい疫のような国民の不満を買うことになります。
また、自治体も民間のプレッシャーをうけて、腰を上げているようにも見えます。民間ではなく、公共自治体が運営するという制度設計そのものに価値があるのだとすれば、メタな制度としての価値をしっかりと打ち出していくべきではないでしょうか。インフラ事業を海外輸出するには、政府、自治体、企業の連携が欠かせませんが、裏方役はこれら三方が平等に主権をとれる関係づくり、アイデア創出の環境づくりを期待したいと思います。その合意システムそのものが、日本の売り物であるわけですから・・。
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