THE BIG ISSUE 144号2010年6月1日号より
映画『インビクタス』ご覧になりましたか?ネルソン・マンデラ氏が、孤独な牢獄生活の後、94年に南アで初めて民主的に大統領として選出された際に、「自分と違う人種に敵意を抱くべきではない。世界とポジティブな普遍的価値に目を向けるべきだ」と、黒人が受けた屈辱、侮辱の反動力ではなく、未来に向けた和解と共生のエネルギーを束ねていった姿が印象的でした。
「長い孤独な月日の間に、同胞の自由を求める私の気持ちは、黒人も白人も含めたすべての人々の自由を求める気持ちに変わっていった。抑圧された人々が解放されるのと同じように、抑圧する側も解放されなくてはいけない。他人の自由を奪うものは、憎しみの囚人であり、偏見と小心さの檻に閉じ込められている。私がもし誰かあの自由を奪ったとしたら、自分の自由が奪われたときと同じように、私は真から自由ではないのだ。抑圧される側も抑圧する側も、人間性を奪われている点では変わりない・・自由になるということは、自分の鎖をはずすだけではなく、他人の自由を尊重し、支えるような生き方をするということでもある。自由に対する私たちの心構えの深さが、本当に試されるのはこれからだ」
マンデラは自伝でこう語っています。アパルトヘイトへの反対運動で投獄されること27年、その間に抑圧する側の痛みまでにも思いをはせ、同胞の自尊心の回復を第一義に考えたマンデラ氏。彼の勇気と情熱に、多くを学びとりたい。
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