THE BIG ISSUEより
紛争を経験した社会の多くが、その後も分裂が続いたり、新たな紛争へ突入するケースは少なくないそうです。根深い対立関係にある個人や集団が、どのようにして対話のテーブルに着き、お互いの関係改善に取り組めばいいのか、こういった研究、考えをあまり深めてこなかったのではないか・・、本記事の主役阿部利洋さんは民族的対立という難しい課題に直面した歴史を持つ南アの「真実和解委員会」の取り組みに着目しています。
裁判とは異なる新しい形で、被害者の声に耳を傾け、肯定的に受け止められる機会となる、また被害者の心境が徐々に変化すると、加害者も罪を告白することで癒しを受ける(16.4%にとどまるが、実際に特赦も行われている)。
この記事でハッとさせられたのは、以下の阿部さんの指摘。
「人々が仲直りする」「対話を通じてお互いを理解しあう」というステレオタイプな「和解」観が、そもそも素朴で実態から遊離している。南アでも当時、新政府にはお金もなく、白人の右翼は不穏な動きを見せていました。新たな紛争の火種がくすぶり、さまざまな制約がある中で、どうしたら憎しみあっている立場同士、あるいは自分がぜんぜん悪いと思っていない人間たちを高尚の緒テーブルにつけるか。さまざまな条件や理由が重なり「和解」という目標設定が最善であると判断されたわけです。
つまり、ここでいう「和解」とは対立関係の変化を引き出し、新たな紛争を未然に防ぐために設定さえた「社会的な目標」であったのだ。
和解・・・。紛争を再発させまいと本活動に取り組む人々の最善策。そう思うと、対立関係にある集団が対話の場につくときのファシリテータのありようも、理想主義的でありながらとても現実主義者であることが求められる。
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