Inspired by 日経あすへの話題
東洋英和女学院大学学長村上陽一郎氏の寄稿。科学には二つの顔がある。社会の問題を解くための手だてとなる顔が一つ、もう一つは、科学者がひたすら面白いと思う問題を追求する顔であるという。
もともと科学という知的な営みが登場したときには、第一の顔はなかったといっていい。古代ギリシャの哲学が自由市民にゆだねられた真理の探求という純粋に知的な営為だったのであり、その伝統の先端に科学も存在した。
いまでは、人類共通の知識を増やすという純粋な知的科学の顔は忘れ去られ、経済、産業、医療などの諸問題を解決する顔ばかりが尊重されるようになっているが、それは原子核内部の研究成果が核兵器の開発につながって以来のこと。「科学は社会のために」という定理が当たり前であるのかどうかも、時勢によって違っているということらしい。
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