Inspired by Nikkeinews ものづくり逆風下の挑戦
最近になって、日立製作所が海外の社会インフラ事業を受注するニュースが増えているように感じませんか?総合電機メーカーのなかで秀逸な技術を抱えながら、事業としての成功に結びついていないことが、市場関係者をやきもきさせていた同社ですが、uVALUE事業(ユビキタスなどの情報技術事業)がリーマンショック後伸び悩みを受け、大きく社会インフラ事業へとシフトしたようです。
ベンチマーク先をIBMからGEに切り替えたともいえます。同時に、主戦場が日本国内ではなく、海外の発展途上国であるということでもあります。
海外市場へのシフトは、総合電機メーカーに限った動きではありません。自動車産業をはじめ、2010年度は前半戦を好調に乗り切った企業も、後半戦は為替変動の衝撃を吸収しきれず、業績が伸び悩んだ企業が多いようです。
日本のものづくりはプラザ合意を行われた25年前から円高との戦いでした。しかし、「円高は長期間続く、製造原価に閉める労務費の比率が高い品目は、その工場での生産停止も検討する」(御手洗会長)などの発言に見られるように、海外調達比率が70%以上へとシフトが加速する時代の為替変動リスク対応力が問われています。
本記事では、独フォルクスワーゲンは為替変動に強い体質として紹介されています。「独国内で作るのは、ユーロ高で値上げしても海外で売れるアウディなどの高級車。一方、低価格車は東欧や中国で作る。このバランスが鍵」同社も為替フリーの均衡点に到達するために、94年には年収15%を削減、06年には2万人を減らしたといいます。
日本でも、為替フリーをめざす取り組みが広がっています。海外生産拠点を増やす動きは典型ですが、マツダのアプローチはユニークですね。小型車から大型車まで主要部品を相似形にする「コモン・アーキテクチャー(共通設計)」を導入、設計の簡素化で部品の負担を軽減し、各社に新興国並みの価格を求めて国内生産を持続する姿勢で取り組んでいるようです。
日本と海外の生産拠点のバランスという視点、国内生産としてこだわるべき産業という視点、為替フリーの均衡点にいたる過程で設備や人材のシフトが必要であるとすれば、ビッグピクチャーを手にしたうえで、考えていく必要がありそうですね。
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