Inspired by Big Issue 2011.1.1号
あけましておめでとうございます。今年は祖父のお見舞いで年が明けました。病院へ向かう途中、1/2の朝からビッグイシューを販売されている姿を見て、思わず買いによりました。
本誌で紹介されていたのが、浦賀べてるの家と呼ばれる統合失調症などの精神障害を抱えた人々の共同生活から生まれた、「当事者研究」と呼ばれる取り組みです。
当事者研究とは、精神障害者が爆発(自分自身との関係や人間関係に行き詰まるなどしてストレスがたまり、人やモノに感情をぶつける行為)について、自分を見つめ直す、反省するという孤独な作業をするのではなく、ルールを破り爆発を起こした場合に、ルールを破った本人をどうするかではなく、本人の中の葛藤にまで踏み込んで、その困難のメカニズムを話し合いながら一緒に解き明かしていく−というやり方です。
向谷地生良(むかいやちいくよし)さんは、「爆発というテーマは、君自身の欠点や弱さをいかに克服するかという問題ではない。極端に言えば、世界中の爆発の仲間をいかに救出するかというテーマであり、君自身にとっても多くの人とつながるチャンスでもある。仲間と一緒に爆発を研究しよう」と、もっとも周囲が手を焼いていた爆発少年とともに本活動をスタートさせたといいます。
当事者研究には「弱さの情報公開」「自分自身で、共に」というキーワードがあります。弱さのなかにある生活の知恵、生き方のヒントに学ぼうという姿勢です。向谷地さん自身も、自己病名を「先天性物忘れ症候群あきらめタイプ」とし、子供の頃から忘れ物でしかられていたと自己開示。弱さという情報は公開されることによって、人をつなぎ、助け合いをもたらす、弱さや苦労を肯定し、みんなで共有しているからこそ、たとえ大変な失敗や困難に陥ったとしても、そこから研究しようと立ち上がっていける–。
この何度でも立ち上がるパワーを与える「研究」活動のスキームは、解のない実践知が必要な全領域に大きな示唆を与えてくれていると感じました。
当事者ワークシート 〜自分の苦労の主人公になる五つのステップ〜
- 問題と人を切り離す
「爆発を繰り返している◯◯さん」から、「爆発をどうにかやめたいと思っているのにやめられない苦労を抱えている◯◯さん」という視点/理解を持つ- 自己病名をつける
自分の抱えている苦労と症状の意味を反映した、自分がもっとも納得できる「病名」を自分でつける。統合失調症悪魔型、人間アレルギーなど・・。- 苦労のパターン・プロセス・構造の解明
症状の起こり方、行為、苦しい状況への陥り方には必ず規則性や反応の構造がある。それが仲間と共に話し合いながら明らかにし、図式化、イラスト化、ロールプレイなどで 視覚化する。- 自分の守り方、助け方の具体的な方法を考え、場面をつくって練習する。
予想される苦労に対して、自己対処の方法を考え、練習する。自分を助ける主人公はあくまで自分自身。- 結果の検証
以上を記録し、実践してみる。その結果をまた検証し、「良かったところ」と「さらに良くするところ」を仲間と共有し、次の研究と実践につなげる。研究の成果としてうまれたアイデアは「当事者研究スキルバンク」に登録し、仲間に公開する。McMedian CO.LTD
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