Inspired by Nikkeinews 20100325 経済教室 中西寛京大教授
今回の不幸な大震災は、日本人が誇りと自信をとりもどすきっかけともなっている。冷静に対処し、秩序を守り、必死に他人を救おうと努力する日本人の姿が世界に与えた驚きと感銘、日本に向けられた支援こそ、「技術大国」のイメージよりもはるかに日本の強さをアピールした。
大災害のときに示されたよき精神を持続させ、巨大な損失から立ち直り、未来に向けた建設へと結びつけるのは政治、経済、知識の指導者の使命である。
英国の歴史家アーノルド・J・トインビーがかつて指摘したように、国家や文明は戦略や天才によって滅びることはなく、滅びるのはそうした挑戦への応戦力の喪失の結果によってである。今回の災害や日本社会の耐久力を示した。それを未来へつなげるのは、社会各層の指導者の役割である。
中西先生のメッセージ、いいですね、心に響きます。
中西先生は、基礎構造が大きく変化したポイントとして下記をあげています。
- 電力供給の制約
原発の見直し、とくに複数の原子炉の並立、使用済み核燃料の保管リスク対応 - 原発の安全性基準の再策定、および事故対応機能の見直し
原子力・電力関係者の自己改革が進まぬ限り、原発の創業・新設・輸出は進まない。一方で、化石燃料を用いる火力発電、ガスの利用は 、気候温暖化・大気汚染の点で限界がある。水力や代替エネルギーの活用へ進むためには数年から10年単位で、電力供給の制約を覚悟しなければならない - 経済を東京一極集中化で効率化するシナリオの見直し
過去20年間試み、十分に成功しなかった成長シナリオ(東京に経済資源を集めて効率を上げ、日本経済全体を底上げする)は、 新興国が東京を上回る勢いで追い上げるなか、実現性が乏しく、中央と地方の格差を増大させただけであった。夏場や冬場の大口電力使用が制約されるなか、東京が復活して地方を救うのではなく、地方が復活して東京を救うシナリオへの転換が必要
失われた20年の間に、東京一極集中による日本再生のシナリオがあること、ご存知でしたか?2000年代には名古屋が元気だった時期もあるし、東京にいるから気付きにくかった・・・ということもあるでしょうか、中西先生が指摘するように、「都市優先政策の裏返しだった地方保護政策の見直しが必要」という指摘には説得感があります。
今回、被災している地域が神戸の被災地と異なる点は、この保護政策化下にあった地方都市が多いということ。自立的な財政計画を立てにくい地域が経済負担を余儀なくされていること。被災地復興にむけて、「緊急補助金の積み増し」ではなく、「自立化にむけた裁量権の委譲」進むことを切に望みます。
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