Inspired by Nikkeinew 20110314
秋田大島沢准教授によれば、「現在世代の負担が軽いほど将来世代の負担は重くなり、現在世代の負担が重いほど将来世代の負担が軽いというゼロサムゲーム的な状況(ある世代が得をすれば、必ず損をする世代が存在する)がある」のだそうです(政府財政は破綻しないという前提で)。
とくに、「目に見える債務(いわゆる一般政府の債務残高900兆円など)」だけに注目するのではなく、「目に見えない債務(給付が政府によって保証された年金、医療保険、介護保険などで未給付だが要件を満たすようになると将来確実に発生する債務)」も考慮が必要。その視点で、世代間格差を島沢先生が試算してみた結果が、この表です。55歳を境に租税負担と受益額のバランスが逆転。50歳より下の世代が純負担世代ということになるようです。
これから生まれてくる将来世代の生涯純負担額は1億559万円である。(中略)将来世代はいかに過大な負担を将来世代に押し付けているかが分かる。この結果、将来世代は新生児世代に比べて529%(6倍強!)も余分に負担しなければならない。
WOW!6倍ですって?!国際比較でも米51%、独92%、仏47%、伊132%、加0%、スウェーデン-22%と、日本が異常な水準であるといいます。
島沢先生は格差是正策の効果を下記のように試算しました。
- 経済成長促進策で経済成長率が2.5%となった場合、将来世代との格差は368%と大幅改善
- 消費税を5%から20%へと引き上げた場合、268%へと改善
- 年金給付を2割削減した場合、(現代の全世代で負担はあがるが)501%へと改善
- デフレから脱却し2%のマイルドなインフレが実現した場合、(現代の全世代で負担はあがるが)507%へと改善
つまり、財政構造や社会保障の受益負担構造の改革を行わなわず、マイルドなインフレだけに頼るだけでは微小な変化しかない。しかし、上記の状態が同時に実現されれば(この点は少し楽観的な試算に思われますが・・笑)、9割近くを解消することが可能だということです。
「将来世代への先送り」を肌で感じさせる指標です。年配者を大事にする儒教の国でも、6倍の荷物を将来世代に背負わせるわけにはいきませんよね?!
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