Inspired by Nikkeinews 20061224
- ゼロ金利との戦い, 植田和男, 1,700円
- ウェブ進化論, 梅田望夫, 740円
- 日本の食と脳, 神門善久, 2,400円
- フラット化する世界,
セイヴィング キャピタリズム,3500円
イノベーション 破壊と共鳴, 山口栄一, 2,600円 - 日銀は誰のものか
マクロ金融政策の時系列分析
孤独なボウリング - ヤバイ経済学
エイジフリー社会を生きる
など。。
Inspired by Nikkeinews 20061224
Inspired by Nikkeinews 経営塾未来塾 神戸大学大学院教授 石井淳蔵氏
『マーケティングの神話』『ブランド 価値の創造』の著者、石井教授による顧客関係のマネジメント手法の提言。同氏は、野球をたとえにマネジメントモデルの転換を促している。
引用--
私が子供のころ、プロ野球ではエース党首は先発完投も、連投も当たり前だった。しかし、今は投手は分業制となり、先発、中継ぎ、抑えと役割分担がはっきりしている。監督も試合展開を見ながら、球団ごとの「勝利の方程式」にあった投手リレーに持ち込もうと努力をする。しかも目の前の試合だけではなく、優勝するためにシーズン全体を見据えた戦い方を考える。
話は、経営の問題と通ずる。日本のメーカーが抱える問題は、売上高営業利益率が低いことである。日米を比較すると、2倍、3倍の差がある。理由の一つとして、日本のメーカーの顧客に対する関係のマネジメント、とりわけ属人的営業がいまだに主流で、組織的営業が行われていないことに一因があると考える。
組織的営業をうまくやっている企業の事例。ある住宅メーカーのビジネスは、住宅展示場になるべく多くの潜在顧客に来てもらうことから始まる。来場者から得たデータは本社のデータベースに送り、顕在顧客に変わる可能性の高い顧客を発見する。営業マンはその顧客と接触、技術工房に案内する。技術工房は住宅の設計や設備に関する細かな点まで、技術者の話を聞きながら、体験、シミュレーションができる施設だ。さらに住宅完成後の増改築などには顧客センターが当たる。
この例では、ビジネスが
の四つのプロセスから成り立っている。最初の二つは、マーケティングの仕事(潜在顧客を集め、同社の住宅に関心を持たせるプロセス)、あとの二つは営業の仕事(顕在顧客と契約にこぎつけるところから、住宅の工事中、さらに完成後も生じるさまざまな顧客の問題解決に当たるプロセス)と役割分担をはっきりさせている。
もうひとつの事例では、営業プロセスを五ステップに分けた上、マネジャーに二つのことをはっきりさせるようにしている。一つは商談中の案件がいまどのステップにあるのか、もう一つは、ステップごとにA=契約できる、B=顧客は迷っている、C=契約は無理の三段階で判断させることだ。こうすることで案件を前進させるのか、撤退するのか迅速な意思決定を行っている。
この二つの例から、組織的営業には、以下の点がひつようなことがわかる。
1では自社業務の流れを考えた上でステップわけし、2では営業担当者にマーケティングの仕事をさせないように注意し、3ではステップごとに高まる顧客の問題意識に的確に対応することが重要になる。案件の進捗管理をマネジャーが行うのは、営業マンの思惑にとらわれずに客観的、公正に状況を判断、管理するためだ。
--
同氏は、業務の細分化がモチベーションダウンにつながらないかという指摘についても、江夏を例にすばらしい解説を行っている。「江夏は、阪神から南海へ移籍した際、野村監督にリリーフへの転向を勧められたが、頑として受け付けなかった。先発完投こそが投手の誇りと考えていたからだ。しかし、彼は結局監督の申し出に従った。われわれの記憶にはリリーフ大エースとしての江夏である。」役割分担を明確にすることで、人材の魅力が引き出される。同時に、全体像を理解し、将来的なキャリアビジョンのシナリオを描くことが求められるが、分業制×ネットワーキングによるやりがいの向上という考え方に多くの示唆を得た。
同氏が最後に紹介した、大口顧客に対して全体案件管理を行う「顧客関係のマネジャー」の役割も興味深い。大規模な組織的営業を効果的に展開するために、顧客全体を担当するアカウントマネジャーが必要な場合もあり、「案件のマネジメント」と「関係のマネジメント」が顧客の問題解決に当たるための両輪になるという指摘も心にとめたい。
Inspired by Nikkeinews 20061124 「経済教室」 イノベーション 本質と課題(中)
情報ネットワークの浸透度では日米に大差はないが、生産性には大きな開きがある、とくに、マクロでの生産性とITの関係について、元橋一之東大教授は指摘する。
まず、元橋教授はイノベーションの概念を三つに分類する
元橋教授は、三つのイノベーションのうち、とくにサービス、組織イノベーションはIT活用が効果的であるとする。
日米を比較してもIT投資そのものには差がないが、米国では全要素生産性の伸び率が高まる一方、日本では低下している。これは日本企業のIT活用方法になんらかの問題があることを示唆している。たとえば、新たな企業間の情報システムを取引先企業からの要請で導入しても、十分に使いこなしていないケースが多く、生産性に対する効果は1.0%にとどまっている。
日本企業でITの有効活用が進んでいない理由として、元橋教授は以下をあげている。
一つは新たな情報システム導入時に、企業の業務プロセスや組織の改革がスムーズに行われてないこと。サプライチェーンシステムを導入する際、製造現場とサプライヤーの間に介在する購買部がいらなくなっても、現場が抵抗し、うまく組織改革が進まない企業が多いのである。また、日本企業のITシステムは部門ごとにばらばらで全社的な最適が行われにくい。ボトムアップ型意思決定メカニズムのせいで、トップダウンで改革が進まないことが影響している。
Inspired by Nikkeinews 20061127 経済教室 イノベーション本質と課題
引用:
知識生産の基本的な競争ルールは、最初にユニークな知識を創造したものだけが権利を獲得できるというものである。このルールをきちんと確立することが重要だ。同時に、企業や大学の連携を進めるとともに、研究の質を高め、一方で不確実性やリスクを吸収する市場を育てるべきだ。
長岡貞男一橋大学教授は、第一に重要なものとして、企業や大学がユニークな研究を早く進めることを促す制度づくりをあげる。同氏やIT分野で世界の主要企業の研究開発のスピードと特許の質の関係性をあげ、研究開発のスピードが速い企業がより質の高い特許権を確保している点を指摘する。
なお、知的財産権として権利を認める際、創造性の基準を高く設定することで、特許の質を高めることが、結果として研究開発の生産性を向上させることとなる。「新規性」「進歩性」の基準を厳格に運用するためにも、先進的な科学の知を活用したり、異分野の知識を融合する研究開発能力の育成が重要である。
第三に、創造された知識が新製品の商業化などに円滑に生かされるためには、知的財産権の譲渡やライセンス、標準関連の必須特許のプールの形成、著作権管理システムなど、知的財産権の流通・移転のしくみの整備が重要である。
第四に指摘するのは、新技術を具体化した商品やサービスをいけいれるリード役の市場を積極的に育て、イノベーションに伴う不確実性やリスクを許容し、これを効果的にプールする制度の確立である(個人的には、この点がもっとも難しく、重要であるように感じる)。イノベーションには元来、不確実性とリスクがある。医療品では、新薬を認可しなかった機会損失は、十分考慮されていない。リスク規模を抑える効果的な措置をこうじながら、こうした市場をよりイノベーティブな商品やサービスに開放していくことが、イノベーションへの誘引の強化につながる。
また、多くの不確実要因がある新技術開発プロジェクトで成功するのは少数で、大半は当面商業化できない。他方そうした不確実性は比較的費用がかからない基礎段階の研究でも大幅に低下する場合もある。失敗の可能性が高いプロジェクトを含め、基礎研究段階で多様な研究アプローチに取り組み、リスクをプールして結果的に社会全体の不確実性を減少させる。同時に研究開発プロジェクトを段階的に区切って選別していき、非効率な研究開発投資を避けるシステムを構築する。
知識経済(にもなっていないと思うが)の次なる経済モデルとして、Creative Economyモデルが注目されている。Besinessweekもイノベーションへの注目を高めており、Get Creative!なる特集記事を掲載している。
本記事のなかで、GEやP&GがSix Sigmaに代表されるプロセス改善アプローチからクリエイティビティを重視するマネジメントスタイルへの転換を図っている様子が報告されている。
GEの特徴的な取り組みは、以下の二つである。
CENCOR (calibrate, explore, create, organize, and realize)
Imagination Breakthrough Program @Businessweek
P&Gの特徴的な取り組みは、
New Positionの設置(Design, Innovation and Strategy担当VP)
Design部門の重視、外部Design Firmとのコラボ(Design Continuum, ZIBA, Ore Design Group, IDEO)
社内組織横断体制の重視
GEとP&Gに共通する方法論の特徴は以下のように表現されている。
「Observation (Get Inspiration!)し、たくさんのアイデアをModelやVideo化(Prototype/BetaService)によってコンセプトを可視化し、早期に採用するもの、削り落とすものを決定していく。そして次に重要なのが、Storytelling。商品やサービスにこめられたユーザー自身の成功の機会をエモーショナルに表現したストーリーづくりが、ユーザーの共感を呼ぶためには重要だとデザイナーは気付いたのである。」
面白い!これは継続してみていく価値ありですねぇ。
日本語のサイトを見ていくうちに、Creative Economyへの関連の深いサイトにもInspireされたので、付記します。
http://www.dmc.keio.ac.jp/lecture/2006_02.html
http://d.hatena.ne.jp/nkurokawa/20050830
Inspired by Nikkeinews 20060206
新しモノ好きのパワーを開発に活かす、そんな動きが広がっている。オンラインゲームの制作スピードを向上し、他社に先駆けて市場導入を図るために、試用版を公開し、使い勝手の悪さの改善などアイデア募集を打ち出した。寄せられた10万件を超す項目を集約、反映した。
Linux、Wiki Pedia・・・、ネットの双方向性を活かし、全員参加で情報を集める動きが広がる一方、責任の所在があいまいになる、永遠の未完成品が生まれ続けることへの不安もある。東大須藤教授は、「ソフトのミスは完全になくせないという前提にたつべき」と言うが、ユーザーが試行錯誤の改良や進化へ貢献することにどれだけ受容性のある態度でのぞむべきか、悩ましい問題である?
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