Inspired by Nikkeinews 20070310 大機小機
社会学者ジャック・ヤングは、格差に対する不満には二つの種類があるしている。
- 仕事の能力で自分と大差ないと思っている人がより高い評価を受けたときの不満
(“上向きの視線”によって生じる相対的な剥奪感) - 自分よりも劣っている人がたとえ低い処遇を受けていても、自分より苦労のない生活をしているように見えるときの不満(“下向きの視線”によって生じる相対的な剥奪感)
国民の多くを閉める中間層の人々はどちらか一つではなく同時に二つの不満を抱く。いつの時代にも格差は発生するが、問題は格差の有無ではなく、不満を感じる人が多いか少ないか、またその不満が大きいか小さいかである。
能力主義がその解のようにも思われるが、難しいのは、能力が同じでも成果が同じになる保障がないことである。両者の間には、運やタイミングなど、多様な要素が介在する。一方で、安易な成果主義は人々の不満を拡大させる恐れもある。
いずれにしても、高度成長期の年功序モデルが制度疲労を起こし、正当性を失った今、これに変わる「納得感のある」新しい能力主義の開発が急務である。
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