Inspired by Nikkeinews 20070815 経済教室 甦る経済思想 アルフレッド・マーシャル
物質的な豊かさだけでなく、生活全体の質の向上を図ることが経済学の目的と考え、教育による能力の向上を強調したマーシャル。彼は、企業家が持つべき倫理として、経済騎士道を重視した。
「冷静な頭脳と温かい心情」を重視し、「冷静な頭脳」を必要とする科学は、人間生活の改良の手段とした。「貧困を解消し、人間の能力・資質を高める」という展望を持ち、「富の増大よりも生活の質の改善に着目して、経済学を研究する必要がある」とした。よって、彼にとって経済学の真の目的は「個人的、社会的側面、道徳的、宗教的側面、肉体的、知性的、感情的、及び技術的側面、すべての側面での人間生活の向上」であった。
興味深いのは、「あるものの経済的有用性は、それを使用する人間の能力や思考にも依存する。それゆえ、富の価格である経済学は、人間の能力と思考に関する学問でなければならず、富の蓄積は『物質と同様に能力の蓄積』を意味する」という彼の思想だ。その意味から、より良い教育の機会を与え、能力や資質を向上し、生活の質を向上させることが、有機的で持続的な成長をもたらす(=「道徳化する資本主義」)と考えた。
経済的有用性が、使用する人間の能力や思考によるものにも依存するのであれば、すべての側面で人間生活を向上させる努力が、重要である。「働く」ことは、経済価値を生み出す源泉であると同時に、その有用性を拡大する、能力と思考を磨く場でもある。
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