Inspired by Nikkeinews 20070111 経済教室
過去の日本は、利益政治の構造であった。自民党の権力構造の変化は、その従属変数というべきものである。部分最適が、「見えざる手」によって全体最適に通じるという利益政治の神話をもはや誰も信じない。新たな全体最適政治を模索する必要がある。
利益政治には、ひとつの深刻なパラドックス(逆説)がある。それは、強い政治的意思で支えられた狭い利益ほど、もっとも強力であること。裏返せば、ぼんやりした国民の総意を背景にした利益は見かけ倒しであることにほかならない。
というのも、前者のような利益はいわばリターン(見返り)が鮮明で、多くの資源を投入することへの当事者のインセンティブが高く執拗な政治活動を後押しできるから。これに対し、後者は誰もが支持することと誰もが「ただ乗り」を決め込むことが同居する。しかもその政治的意思表示の機会は数年に一回。策を講じず、自体を放置すれば、部分最適の政治力学は容赦なくいき続ける。
佐々木毅学習院大教授は、広義の生産性向上のために、中央・地方政治の関係性を例に、地方が中央への依存から脱却するとともに、中央が地方との関係について、十分な管理能力を持つ必要性を説く。
「政治」を考える上で、示唆深い視点である。
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