Inspired by Nikkeinews 20080923 やわしい経済学 リーダー育成の連鎖 金井神戸大教授
リーダーシップがどこかに実在するという言い方は正確ではない。リーダーシップとは、共通認識をベースとした社会的構築物にすぎない、共通の幻想である。フォロワーがどう思うかという点にリーダーシップは専ら依拠するのである。
仕組みはこうである。リーダーたる人物の言動を観察した潜在的な、リーダーをまだリーダーと認めていないフォろわーたちが、自分たちが成果をあげ、活動に満足できているのはこのリーダーのおかげだと思い、その数が増えて多数を占めるようになると、次第に「喜んでリーダーについていく」顕在的なフォロワーへと変化する。
共通の幻想とは、ブランディングの考え方にひじょうに近い。リーダーたるものが抱えるものというよりも、リーダーと他者の関係性のうえに構築されるものというわけだ。金井氏は、肩書きについて、リーダーシップの獲得、発揮に役立てることもできるが、肩書きがあればリーダーシップが転がり落ちてくるものではないという指摘と、同時に肩書きさえあれば力学上の関係性に変化をきたすため、リーダーが描く絵やビジョンの良し悪しにかかわらず、フォロワーが支持してしまうことがあるという両面の指摘を行っている。
金井さんはとくに、後者の問題を指摘し、倫理性とリーダーシップの両立が今後の研究課題であると説く。
一方、私は、パワーを握るための肩書きの存在を極力否定する場づくりに関心がある。肩書きに左右されず、絵やビジョンの良し悪しを一人一人が判断する、その善悪、美醜の感度を磨くプロセスも重要であると考えるからだ。
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