Inspired by Nikkeinews20100127 経済教室 猪木武徳氏
福沢諭吉は『文明論之概略』で「故にわが国の人民は外国交際に付き、内外の権力果たして平均するや否やを知らず、我に曲を蒙(こうむ)りたるや否やを知らず、てんとして他国のことを見るが如し」と外国御地ぶりを嘆いたといいます。猪木氏は、「対等」を唱える鳩山政権は、自国の長期的利益がいかなる国際関係のもとで実現するのかを、原点に戻って確認する姿勢が足りないのではないかと憂慮しています。
日米同盟は、中国との関係性や東アジア全体の安定性にも影響を与えている。米国、中国、韓国、インド、ベトナムなどアジア諸国との多角的な関係性に影響を与えている。 しかし、中国が軍事・経済面で世界の大国になったことで、米国は中国との関係を従来の延長線上には捉えないだろう。米国の輸入額のトップは中国で、米国債を大量保有する中国は米国を意識している。 一方、日本が自国の膨大な赤字国債の累積を問題視するほどには、海外のが日本の財政赤字に反応しない。それは、日本の個人保有の金融資産や世界随一の対外債権残高の大きさを知っており、国債も国内保有がほとんどであることが知られているためだ。 対日政策が米国外交のアジェンダリストの下位に押しやられているのは、米国が日本に好意的で全幅の信頼を置いているからではない。日本を国際社会から切り離しておいても当面問題はない・・・、と「軽く見られている」ためだ。日本経済が後退を余儀なくされている現状ではなおさら、軍事、外交、経済、あらゆる面での日本の孤立を知らず知らずのうちに促進していることになる。猪木氏は、日露戦争時にも、ロシアへの警戒心から日本にとった好意的態度を勘違いし、米国の好意的な姿勢が変化することを受け入れられなかった歴史にふれ、「意図せぬ孤立」の道を再び歩まぬよう、日米同盟の空洞化回避を訴えています。
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