プロボノとは、
- 知識労働者が自分の職能と時間を提供して社会貢献を行うこと(スキルボランティア)
- 「受益者」であるNPO、「サービスの提供者」である知識労働者、そして「資金の提供者」である私設財団の三方に利益をもたらす仕組みである
日経BP記事
プロボノ(pro bono)という新しいボランティア手法が注目されている。「知識労働者が自分の職能と時間を提供して社会貢献を行うこと」を意味する。元々は弁護士などの限られた業界で一般的だったが、「知識労働者とNPOとを結び付けてNPO支援を行う」というマッチングシステム(NPOタップルートによるサービスグラントなど)が考案されたことから、マーケティング、広報、人事、デザイン、システム開発、営業、プロジェクトマネジメントなど、幅広い分野の知識労働者がプロボノ活動に取り組めるようになった。
プロボノは「pro bono publico」を略した英単語。ラテン語を語源とする形容詞だ。直訳では「公益のために」(for the public good)程度の意味になる。一方、実際の意味は「公益のために無償で仕事を行う」ことを指す。公益の無償奉仕といえば、ボランティアが思い出される。このボランティアとプロボノとの違いは、従事者の職能を生かすかどうかにある。
また、「受益者」であるNPO、「サービスの提供者」である知識労働者、そして「資金の提供者」である私設財団の三方に利益をもたらす仕組みとして注目を集めている。受益者であるNPOにとっては、高品質の成果物が得られる意義が大きい。プロのデザイナーが手掛けたパンフレットを配布すれば、信頼感が高まる。この信頼感が、最終的には寄付金の増加、活動の認知などにもつながる。また、プロジェクトを通じてプロの仕事に触れることで、そのノウハウをNPOの内部に取り込める意義もある。
サービスの提供者である知識労働者にとっての利点も多い。まず自分の職能を生かせる上、空いた時間を有効活用できるため、ほかの社会貢献にくらべて間口が広く参加しやすい。またプロジェクトを通じて新しい人脈ができることや、対象NPOの活動内容を勉強できることも意義深い。これが将来、本業にフィードバックできる可能性もある。
また資金の提供者である私設財団にとって、このシステムは効率の良い投資対象となる。例えば同じ金額を、対象とするNPOに単純に寄付する場合と、タップルートのプロジェクトに寄付する場合とでは、後者の方が明らかに高い品質の成果を得ることができるのだ。
同様の仕組みを提供する動きとしては、「The 1%」(米国建築家とNPOをマッチング)、日本ではNPO法人のサービスグラントのマッチング、企業ではNECやBCGコンサルなどが、プロボノ活動と企業の社会貢献を結び付けようとする動きを広げている。
最近のコメント