東京で働いていると、モバイルPCで仕事をする環境を当たり前のように享受している。先週の平日、一日を中伊豆で過ごした。その間に何度かPHS通信をしようとしたが、うまくつながらない。この間、私の仕事はストップした。せっかく緑の山々、輝く小川の中にいるのに、かばんのなかのPCが私の体内時計をあおる。
日経新聞の「ネットと文明」という連載記事に、「効率をおい、時間にあおられる」東京の暮らしが描かれている。駅前探索倶楽部の嘆き、「便利にするつもりが、社会全体の効率をさげてはいないか」。乗り換えに最適な時間、車両位置を詳しく提供する。その結果、乗客が集中し、混雑をあおる。マーケティングの分野では、全国一斉販売、全世界一斉公開という動きが増えている。世界同時共振手法の採用により、文明の多様性が損なわれる懸念が広がる。
東工大の本川教授によれば、「日本人一人あたりの消費エネルギーはヒトが生きるのに必要な量の四十倍」といい、生物として、高速社会についていけなくなっている現状に警鐘をならしている。
英エコノミスト誌のビル・エモット編集長は、「ネットで便利になるが、生産性はそれだけでは向上しない、『浮いた時間でどんな付加価値を生むか』という、新たな文明創造の取り組みが必要」と説く。文明に遊ぶ時間を作り出す、効率化手段としてのネット。体内時計を早め、人間らしさという文明蓄積を壊すネット。ネット時代を生き抜くために、この矛盾を乗り越える、新たな知恵が求められるらしい。ふーっ・・・?
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