Inspired by Nikkeinews 20061102 成長を考える
多様な雇用モデル。オランダや1982年のワッセナー合意で雇用市場改革を推進し、これをテコに高成長を実現したと言われている。合意前は、若者が雇用市場から締め出され、正社員は国から手厚く保護されていた。改革後は、正社員と旧正社員の間で労働条件に差をつけることを禁止、雇用の流動性に弾みをつけたことが改革につながった。
内閣で労使問題の諮問機関を担う、ICU八代尚宏教授は、「企業と働く側の双方のニーズを柔軟に調整するためにも市場メカニズムは有効」と語る。「労働市場の流動性が高まれば個人の選択に応じた多様な雇用も実現できる」
「経済的自由主義」「市場原理」という言葉に対し、競争をあおられる、社会が勝ち組と負け組みに分断されるという指摘もある。
日本は経済的には十分豊かで、これ以上の成長追求は弊害が大きい。競争ばかりの社会になれば、日本的なものは失われる・・。
優雅なる衰退で持ちこたえられるのは、余裕がある高齢者層、若者を中心に構造変化によるワーキングプアの現状を自力では抜け出すことができない問題を抱える人々も多い。
いかに、小さな一人ひとりの力で構造変化を生み出すのか。従来であれば、政治が構造を設計し、「公共哲学」の精神に基づいて、規制などの手段によって適正化を図っていた。しかし、成熟社会では民意の多様性、柔軟性を反映した構造を選択し、設計しなくてはならない。大きな政府が設計することは、そもそも難しくなっているのである。
建設業が公共事業の削減の伴う売上の補填を、農業の異業種参入を規制緩和策をうけて実施している。規制緩和、グローバル化、市場メカニズムの弊害を考慮しながらも、利点を活用しようという努力が、小さな一人ひとりの活力を引き出し、大きな構造変化を自ら生み出すことにつながる。
格差を是正するためにも、市場メカニズムの本質を、改めて問いたい。
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