Inspired by Nikkeinews 20061229 大機小機
日本でも社会起業家が広がりを見せているようだが、世界的にもこの動きが見られる。今年私がもっとも注目した、ノーベル平和賞受賞者のバングラディシュのムハマド・ユヌス氏。彼は貧しい女性に対し、無担保で小額の貸付を行うグラミン銀行を創設した。
数ドルから二十-三十ドル程度の単位の資金。それでも日々五十セントから一ドル程度で生活し、まったく余裕資金のない人々にとっては大金。融資を受け取った女性達は、たとえば鶏を買い、卵を売って資金を蓄え、次に矢木や牛を買い、ミルクを買って資金がたまると、ミシンを買って服を作り始める。
短期間のうちに、彼らの生活は目に見えて向上。生産手段を所有し、自信や希望を持って活気ある生活をするようになったという。
本記事が指摘するのは、NPOである世界銀行との比較。「同銀行は世界各国から集めた膨大な資金で同様の活動を行っている。しかし、世界銀行が融資するのは、途上国の政府であり、その資金は橋の建設などに使われる。資金の大半は工事を請け負った海外の企業に対して支払われて流出し、国内には完成した橋しか残らない。橋はもっとも貧しい人々の生活水準向上に直接貢献するわけではない(以上引用)」。
世界銀行が橋をつくるのには、女性が教育を受けられるように、交通網を整備するなどの実現することも考慮されたものであり、本記事をそのままうけとってはいけないが、たしかに現地が自立した生活水準向上を果たすことができるような構想を描けているかどうかは、ひじょうに重要な視点となっている。
リスクが高いと信じられていた市場が、実は優良な市場であったことを知って、ごく小額の資金を貧困層に融資するマイクロクレジットへの参入例が増えているという。「ニーズにあった自助努力の支援こそが金融の本質、自由な市場の力が発揮される分野でもある」。政府機関では実現できていないことを、市場原理にもとづき社会起業家が実現していく。
ポイントは、ニーズにあった自助努力の支援。サービスを受ける人々が、自分達の生産能力など知識資産を拡大できる構想を描くことが、成否を決める。
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