Inspired by Nikkeinews 経済教室 青木昌彦スタンフォード大名誉教授
金融市場のグローバル化の勢いが弱まると、各地域経済がそれぞれに抱えている独特のアジェンダ(課題)が鮮明に浮かび上がる。だからといってそれぞれが世界に背を向けて自己の課題に取り組むわけにはいかない。
そういう時代の姿が明らかになっている。では多様化・多極化時代の国際的秩序はどう進化するのか
このような多様性からの利益を引き出すには、「各国のアジェンダの把握と補完性」を意識することが重要と説く。
日本:「世代間保障の設計」
人口、経済社会構造の変化に応じた世代間の関係を、コミュニティとし手再構築しえてないことから生じる不安、その解消が求められる
中国:「産業構造の進化」
「改革・開放」「和諧(わかい=調和のとれた)社会」の実現には20億人以上の人口を10年、20年かけて農村から移動する必要があり、それを可能にする雇用を作り出すには、8%の成長が必須。それには非効率なエネルギー消費、経済組織や構造物に関する巨大化信仰、流動労働力の搾取、政府の過剰・恣意的な感傷など、従来型の技術パラダイムに変化が必要
アメリカ:「消費・貪欲の抑制」
しばらくは、「大きな政府(財政赤字)」を受け入れざるを得ないとしても、消費の過剰、外国からの著材供給への依存からの脱却が必要
各国間の補完性
日中:環境親和的技術の供給と導入/市場の持続的成長
日米:多元的価値観と共生/普遍的な言葉の力
中米:貯蓄の供給(米は先進国の間ではもっとも若い国になるという展望から、高齢化の進む中国では国民貯蓄がドル資産によって行われる)、人権・機会平等の価値を提示し、社会構成の進化に道徳的示唆を与える
もうひとつ、青木教授の指摘する「人間的要素の基づく多様化時代の市場競争原理」は興味深い。量より質の競争時代となり、機械や機器によって完全に代替されないという意味で、人間の認知資産を活用し、環境親和的な技術や社会貢献に積極的な企業が、製品市場や資本・労働市場によってますます評価される傾向にあることが、国際規模で学術的に明らかにされるるあるという。
多様な可能性に関する多様な評価を集約する、株主一辺倒の会社法の限界をいかに超えるかという点も、「多様性は補完性の母」と思える柔軟な共生関係を構築するうえで重要である。
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